葬儀で香典をいただいたら香典返しをするのがしきたりですが、香典返しをしなくてもよい場合もあります。そのようなとき、遺族はどう対応すればよいのでしょうか。ここでは、香典返しが不要のケースと遺族の対処方法についてご説明します。
目次
香典返しが不要なケースとは?
不祝儀袋内に「香典返しは不要」と明記されている場合
公的機関や組織では、香典返しを受け取ることを禁止されていることがあります。民間企業でも、香典返しを受け取らないことを規則としているところもあります。
これらの場合は、葬儀でいただく不祝儀袋に「香典返しは不要です」と明記してありますので、香典返しは不要です。
参考:葬儀・法要・相続・お墓の事典オールカラー(浅野まどか 西東社) 104ページ
遺族の状況によっては香典返しをしなくてもよい
一家の働き手が亡くなったり遺族に小さい子どもがいたりするときなど、香典返しは不要として香典をいただくことがあります。
例えば、夫が亡くなって妻が専業主婦の場合、これから生活基盤を立て直さなくてはなりません。小さい子どもがいる場合はなおさら大変です。
こういったケースでは「遺族の生活に役立ててほしい」という配慮が込められていますので、お気持ちに甘えてお返しをしなくてもよいでしょう。このような場合は、電話や手紙などで感謝の気持ちを伝えると丁寧です。
参考:心のこもった 葬儀・法要のあいさつと手紙 マナー&文例集(杉本 祐子 主婦の友社) 129ページ
会社の方からの香典が3,000円なら香典返しは不要?
会社関係など故人との関係性が薄いケースでは、3,000円のお香典をいただくことがあります。
お香典の額が3,000円の場合、半返しだと1,500円でかなり低額となるため、人によってはお返しをしないこともあります。
しかし、何か感謝の気持ちを伝えたいと思うケースも少なくありません。そこで、香典返しe-shopでは1,000円前後の品物も多数ご用意していますので、これらの品物をお贈りするとよいでしょう。
また、会社や職場の方々から連名でいただいたお香典で、1人あたりの香典が低額の場合には、職場の方々が皆さんで食べられる菓子折りなどをお贈りする方法もあります。
会社への香典返しに関する詳しい内容については、以下の記事をご参照ください。
葬儀当日の会葬御礼との関係は?
葬儀や通夜への弔問客には当日、会葬御礼として500円~1000円くらいのハンカチやお茶、コーヒーなどをお渡しします。
会葬御礼は香典の有無にかかわらず、参列いただいたことへのお礼なので、香典返しの半返しには含めないケースが多いでしょう。
ただ、地域によっては会葬御礼を香典のお返しとして含めてもよいとするケースもありますので、地元の親戚などに確認しておくとよいでしょう。
香典返しと会葬御礼の違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
香典返しは不要と言われた場合は、どうすればいい?
上記で紹介した場合以外でも、香典返しは不要として香典をいただくことがあります。これには、「葬儀の足しに」「遺族の今後のために」などといった遺族への配慮が込められていることがほとんどです。
喪中はがきで訃報を知って「御仏前」を届けてくださる方の中にも、「一区切りついたあとで手間を取らせるのは忍びないから」といった理由で、香典返しを不要とすることがあります。
香典返しが不要という方には、お気持ちを尊重して品物ではなく感謝の気持ちを込めたお礼状をお送りしたり、お電話でお礼を述べると丁寧です。
しかし、お相手がお世話になっている方だったり高額の香典をいただいたりした場合など、何もお返しをしないのは遺族として心苦しいものがあります。香典返しが不要な方に香典返しを贈ってもよいのか判断に迷うこともあります。
そこで、お相手の配慮を無駄にしないよう、別のカタチで感謝の気持ちを伝える方法を以下で解説します。
別のカタチで感謝の気持ちを伝える
香典返しは、香典の3分の1から半分程度の品を贈る「半返し」が一般的です。
でも、香典返しが不要の方にしきたり通りに半返しすると、配慮を無視したと思われることもあります。配慮に感謝しつつ香典へのお礼の気持ちを伝えたいときは、通常の半返しよりも抑えた額の香典返しを贈る方法があります。
3万円の香典をいただいたとき、しきたり通りでは1万5千円程度の品物を贈りますが、5~6,000円程度に抑えることで「お気持ちはいただきました」と示すことができます。
また、感謝の気持ちを伝える方法は、香典返しだけではありません。例えば、高額な香典をいただいた方にお中元やお歳暮を贈る方法もあります。香典返しは不要との配慮はありがたくいただいておき、別の機会に香典返しに代えてお礼をするわけです。お中元やお歳暮は時候の挨拶なので、喪中に贈ってもマナー違反にはなりません。
連名で香典をいただいた友人には、会食の場を設けて改めてお礼をするのもよいと思います。遺族の生活を心配して配慮いただいた方には、時々近況報告の手紙を出すのもよいでしょう。
いずれにしても、規則などで香典返しを受け取れない方以外は、遺族への配慮で香典返しは不要とするわけですから、どのようなカタチであっても相手に感謝の気持ちを伝えることが大切です。
参考:晋遊舎ムック 日本一やさしくわかる 身内が亡くなった時の手続き 2022年版(晋遊舎) 36ページ
まとめ
・「香典返しは不要」と明記してある場合は、原則として香典返しをしなくてもよい
・香典返しは不要と言われた場合も香典返しを贈ってもよい
・香典返し以外の方法で感謝の気持ちを伝えることも可能