香典返しを贈る際、喪主以外の人が香典返しを用意しなければいけないケースがあります。そうした場合、香典返しの表書きをどのようにすればいいのか、迷うことがあります。ここでは、喪主以外の人が香典返しを贈るときに気を付けることについて解説します。
目次
喪主以外の人が香典返しを行うケースとは?
喪主以外の人が香典返しを行うケースは、どんな時があるでしょうか。
喪主とは、葬儀を取り仕切る代表者のことです。通常、喪主は故人と血縁関係が近い人の中から、慣習やその時点の家族の状況などによって総合的に決めることになります。
故人が結婚している場合は故人の配偶者、故人に子供がいる場合は長男、直系の男子、故人の長女、直系の女子、故人が独身や子供がいない場合は故人の両親、兄弟姉妹などが務めます。
喪主は葬儀の代表者ですが、金銭面もすべて賄うことができる人とは限りません。喪主が年老いた配偶者となるケースもあります。
このような場合、金銭的なことを賄う人として喪主とは別に施主を立てることになります。喪主以外の人が香典返しを行うケースとしては、このように喪主と施主が別になるケースがあげられます。
例えば、故人の配偶者が年老いていて形式上は喪主になるものの、実際の施主は実家を離れた長男や長女が行うようなケースもあるでしょう。
喪主以外の人が香典返しを贈る場合の「のし」の名前は?
香典返しを注文する際には、たいてい「のしの表書きの名前はどうされますか?」と聞かれます。
ここで故人とは異なる名前を書くと、故人と親交のあった人は誰からの返礼品か分からない場合があります。そのため、通常は喪主(=故人)の苗字を書くことになります。
のしの名前は喪主(=故人)の「苗字のみ」を記すか「苗字の下に家を付ける」のが一般的です。
ただ、喪主や施主の方の苗字が故人と異なる場合はどうすればいいか迷うケースがあります。そのケースについて、次で述べます。
のしの名前を連名にするケース
香典返しののしは、喪主(=故人)の苗字を書くのが原則ではありますが、逆に喪主の名前だけでは誰からの返礼品か分からないことがあります。
例えば、喪主の苗字が故人の苗字と異なる場合です。喪主を務めているのが故人の一人娘で、嫁いでいるため苗字が変わってしまっているケースなどです。
嫁ぎ先の夫が施主を務めている場合は、その配偶者の一人娘は、喪主でもあり、施主でもあります。
しかし、旧姓(故人の苗字)だけだと、施主の苗字しか知らない人は誰からの返礼品か判別がつきません。
そのような場合は、旧姓(故人の苗字)と現在の姓(夫の苗字)を連名にしてもよいでしょう。連名の場合は、左右均等に苗字だけを書きます。
このように連名にしておけば、旧姓(故人の苗字)と現在の姓(夫の苗字)を知るそれぞれの方が判別できます。
喪主以外が香典返しを贈る場合の挨拶状は?
喪主以外の人が香典返しを贈る場合、送り主はあくまでも喪主なので、挨拶状の主語は「喪主」ということを前提にして書くようにします。
つまり、故人を指して語る際は、喪主との関係で書くようにします。具体的に言えば、喪主から見て故人が「父」であれば「亡き父」であり、喪主から見て夫であれば「亡き夫」ということになります。
挨拶状の文例
喪主だけのケース
先般は 亡き父 ●● の葬儀に際しまして
御多忙中にもかかわらず ご会葬を賜り かつご鄭重なご厚志を賜り
厚く御礼申し上げます
お陰様をもちまして ●月●日に四十九日の法要を滞りなく営むことができました
つきましては 供養のしるしまでに 心ばかりの品をお届け致しましたので
ご受納くださいますよう お願い申し上げます
本来であれば 拝眉のうえ 御礼申し上げるべきところではございますが
勝手ながら書中をもって 御挨拶申し上げます
令和●年●月●日
連名のケース
挨拶状を連名で書く場合、喪主のあと(左)に、親族一同や、施主(差出人・送り主)●●と入れて置くようにします。
ただし、挨拶状の文章の主体は喪主ですので、喪主以外が香典返しを送るにせよ、それは喪主側の都合であり、贈り先へあえて差出人や送り主の名前を書く必要はないでしょう。
郵送や宅配の場合、送り主の名前は?
表書きは喪主であっても、郵送や宅配の都合上、送り主の名前と住所を表記する必要がある場合があります。その場合は、送り主の名前は喪主ではなく、送った本人の名前にします。これは、挨拶状とは異なり、手続き上の都合です。送り先の住所が不明で品物を返送する場合、送り主の住所が正しくないと困るからです。
ただし、送った人の名前が相手に知られていないとか、相手が不審に思う可能性があると考えるときは、届け物の品名の欄に「●●家香典返し」と書くようにしておくとよいでしょう。
まとめ
・喪主以外が香典返しを送るケースとしては、喪主以外に金銭を賄う「施主」がいる場合など。
・原則として「のし」の表書きは、喪主の名前。場合によっては連名もあり。
・のしの表書きは喪主だが、郵送や宅配の名前と住所は、喪主ではなく送り主のものを書くように。