葬儀やお通夜では、参列して頂いた方へ返礼品を用意するのが昔からの習わしです。返礼の品には、香典返しと会葬御礼とがありますが、では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか? ここでは、香典返しと会葬御礼の違いや、品物の種類、費用などについて詳しく解説します。
目次
香典返しと会葬御礼の意味の違い
香典返しと会葬御礼、どちらも葬儀やお通夜の返礼品に違いはありませんが、会葬御礼はその名の通り、葬儀に来て頂いた人、全員にお配りする品物のことです。香典を頂いても、頂いていなくても、葬儀に出向いてくれたことへのお礼としてお渡しするのが「会葬御礼」です。
一方、香典返しは、香典を頂いた方へ、香典のお礼としてお渡しするという違いがあります。そのため、都合があって葬儀やお通夜に来られなかった人でも、代理の方を通して香典を頂いたり、あるいは郵送で送って頂いた人など、香典を頂いた方のすべてに、香典のお礼として香典返しをお渡しするのが礼儀です。
参考:親の葬儀とその後事典(黒澤計男、溝口博敬 法研) 56ページ
香典返しと会葬御礼は一緒に渡すもの?
香典返しは香典を頂いた方に、四十九日が明けてからお渡しするのが本来の習わしです。
最近では、お通夜や葬儀のその日に、いわゆる「当日返し」でお渡しすることもあります。
この場合、お通夜や葬儀を終えた後、参列者に会葬御礼を配るので、当日返しを行う場合は、香典返しと会葬御礼は一緒ではないかと思う人もいるかもしれませんが、会葬御礼と香典返しは分けてお渡します。
持ち帰りの都合を考えて紙袋などは一つにまとめてもよいかもしれませんが、品物はきちんと別々に包んで区別するようにします。
香典返しと会葬御礼の費用はどう考えればいい?
まず、会葬御礼についていうと、葬儀に参列して頂いたことへのお礼なので、値段としても500円から1000円前後の商品で、かさばらないもの、ハンカチやタオル、お茶のパックや海苔などが一般的です。
会葬して頂いたことへのお礼状と、場合によっては、「お清め塩」を一緒に挟んでお渡しするようにします。
香典返しを当日返しとして行う場合は、もっとも多いケースの香典の金額を想定し、その金額の「半返し」となるような品物を選んでお渡しするとよいでしょう。
たとえば、最も多く頂くケースの香典を5000円と想定するなら、2500円程度の品物を香典返しとして用意します。
それ以上に多い金額の香典を頂いた方へは、後日、半返しとなるように、改めて香典返しをお贈りするようにします。
参考:身内が亡くなった時の手続きハンドブック(奥田周年、山田静江 日本文芸社) 46ページ
香典返しと会葬御礼の挨拶状の内容の違いは?
会葬礼状には、葬儀やお通夜へ足を運んでいただいたことへのお礼を記すようにします。一方、香典返しには、香典を頂いたことへのお礼を書きます。
後日、香典だけを頂いた方へも挨拶状を書く必要がありますので、香典返しと会葬御礼の挨拶状は別々の文面となるようにします。
香典返しの挨拶状は、四十九日の法要を終えたご報告と頂いた香典のお礼を伝えるようにします。
たとえば、香典返しの挨拶状で葬儀に参列していない方に、葬儀に参列頂いたお礼を書いた文章にすると失礼なことにもなりかねませんので、注意したいものです。
参考:配偶者が亡くなったときの手続き・葬儀・相続のすべて(PHP研究所) 53ページ
香典返しと会葬御礼の品物の違いは?
会葬御礼と香典返しはできれば、別の品物を用意するようにしましょう。会葬御礼にハンカチやタオルを選んだなら、香典返しには、食べ物を選ぶなどの工夫はほしいところです。
会葬御礼も香典返しも、品物を選ぶ基本としては使ってなくなる「消えもの」がよいとされています。香典返しに関しては、当日返しを行ったあと、さらに多く頂いた方への追加で品物を贈る際も、できるだけ当日返しと異なるものを用意するようにしましょう。
金額的に調整しやすいからと、当日返しと同じ品物を数だけ増やして贈るのでは、あまりよい印象は持たれません。
当日返しを行っているのであれば、後日のお返しの数は少ないはずですし、一般的に四十九日が明けた後に贈るので、相手のことを考えて品物を選ぶこともできるかと思います。
香典返しは香典を頂いたことへのお礼として贈るものなので、できるだけ相手に感謝の気持ちが伝わるように考えて品物を選びたいものです。
香典返しと会葬御礼、会社のひとにはどうすればいい?
会葬御礼は、葬儀の参列者、それぞれに贈るものなので、会社で葬儀に来られた方へはその場でお渡しすれば問題ありません。葬儀に参列していないのに、会葬御礼を後日、お渡しする必要はありません。
なお、香典返しに関しては、会社の規定で香典を頂いた場合は、受け取らないという場合もありますので、会社名で香典を頂いた場合は、会社の方に確認してみるとよいでしょう。
また、社員の連名で香典を頂いた場合は、人数分の香典返しを用意する必要はありません。連名の代表者に香典返しを渡すようにします。当日返しを行っていれば、それでよいのですが、後日会社へ香典返しを持っていく際は、一つの品物ではなく人数分で小分けできるような品物を選んで持っていくとよいでしょう。
なお、会社の人でも、個人名で香典を頂いた場合は、個人あてにきちんと香典返しを行うようにしましょう。
香典返しと会葬御礼は郵送で送ってもいい?
会葬御礼は、会葬していただいた際に渡すものですが、「会葬礼状」であれば後日、手紙やはがきとして改めてお礼としてお送りすることがあります。なお、なんらかの理由で会葬御礼をお渡しすることができなかった場合、郵送で送っても構わないと思います。
香典返しについても、本来であれば香典を頂いた方へ、お礼のあいさつとともに、直接手渡しで差し上げるべきところですが、互いに忙しい現代社会では、郵送や宅配便などを利用してお贈りするのがむしろ一般的になりつつあります。
まとめ
・会葬御礼は葬儀やお通夜に参列して頂いたことへのお礼、香典返しは香典を頂いたことへのお礼。
・会葬御礼は一律500円から1000円程度。香典返しは頂いた香典の額の「半返し」が基本。
・会葬御礼と香典返しは、なるべく別の種類の品物を贈るように心がけよう。