香典返しの品物の表につける白い紙を「熨斗(のし)」または「掛け紙」といいます。この掛け紙にも、宗教の違いや地域の違いによって、さまざまな種類があります。どれを選べばよいのか、迷うこともあるのではないでしょうか。
ここでは香典返しの掛け紙や、名前の書き方について解説します。
目次
香典返しの「のし」について
香典返しに付ける白い紙は一般的に「のし」または「のし紙」と呼ばれていますが、熨斗(のし)とは、本来、のしアワビのことを差し、アワビの肉を薄く切り、平らに伸ばして乾燥させたものでした。
これを色紙に包み、慶事の贈り物に添えて出したもので、紅白の水引には、色紙に包んだ「のし」の絵柄が印刷されたものが今でも使われています。
このようにのしは慶事の際に使用するもので、弔事や法事で使用するものは「のし紙」ではなく、正しくは「掛け紙」と呼びます。
参考:最新 困ったときにすぐひける マナー大事典(現代マナー・作法の会 西東社) 20ページ
水引について
香典返しの掛け紙につかれる水引には、黒・白の結び切りや黄色・白の結び切りなどがあります。結び切りを用いるのは、葬式のような弔事は一度切りにしたいという思いが込められています。
黒・白の水引は仏事全般に用いられており、黄色・白の水引は、関西圏や中国地方などで用いられます。
また、神道やキリスト教の香典返しでも、黄色・白(または銀)の結び切りの水引を用います。
参考:心が伝わるお礼の手紙・はがきマナー&文例集(杉本祐子 主婦の友社) 58ページ
のしの表書きの種類や読み方は?
香典返しの表書き
四十九日の香典返しには、宗教・宗派の違いや地域によって、さまざまな書き方があります。
基本的な香典返しの表書きは、どの宗教・宗派でも用いられる書き方として、「志(こころざし)」の一文字を書くのが一般的です。
忌明け法要に贈る返礼品(志)という意味で、「忌明志(きあけこころざし)」と書くこともあります。
関西地方では、香典返しの表書きは「満中陰志(まんちゅういんし)」がよく使われます。
キリスト教の香典返しでは、「志」のほか「偲び草(しのびぐさ)」などの表書きが用いられます。
なお、掛け紙にも絵柄がついたものがありますが、蓮の花は「仏様の象徴」なので、仏式だけに用いるようにしましょう。
法事のお返しの表書き
法事・法要の引き出物として渡す場合には、東日本では「志」が一般的ですが、西日本の一部の地域では「粗供養(そくよう)」や「茶の子(ちゃのこ)」と書くこともあります。
茶の子とは、本来は、お彼岸の仏事のお供えの意味で、それが転じて粗品という意味を持つようになり、表書きとしても用いられるようになりました。
文字の色について
表書きや名前の文字色は、濃墨または薄墨を用います。香典返しを扱っている多くのショップでは、濃墨と薄墨のどちらも使われています。
葬儀の香典や引き出物では薄墨を用いるのが一般的ですが、香典返しの場合は、どちらでもよいとされています。
名前の書き方について
水引の下には、基本的に喪主の名前を書きます。名前は、喪主の苗字をだけを書くケースが多く、「●●家」と書く場合もあります。
そのほかには、喪主の氏名(苗字と名前)を書く場合もあります。
たとえば故人の妻が喪主で、嫁いで苗字の変わった娘などが施主を務める場合などは、香典返しの品物を受け取った方が分かりやすいように連名にするケースもあります。
名前の書き方には、ほかにもさまざまなパターンがあります。
以下の記事では、差出人の名前の書き方について、詳しく解説していますのでご参照ください。
香典返し専門店のサービスがおすすめ
このように、香典返しののしや名前の書き方には、地域や宗教などによってさまざまなルールがあります。
そこで、香典返し専門店の「のし作成サービス」を利用すれば、適切なのしや名前の書き方をアドバイスしてくれるので安心です。
まとめ
・香典返しに用いる「熨斗(のし)」は、正しくは「掛け紙」
・表書きや水引は、宗教や地域によって種類もさまざま
・表書きの名前は、贈り主の苗字が一般的
・香典返し専門店のサービスを利用するのが安心