香典返しの時期について迷うことがありますが、正式には忌明け後に贈るものとされています。また、忌明けの時期は宗教によって異なります。
ここでは、仏教の一般的なお返しの時期のほか、早くお返しをするケースや遅れたケース、神式・キリスト教式など各宗教の香典返しの時期について解説します。
目次
香典返しは忌明け後に贈る
葬儀後も遺族は故人の冥福を祈り、喪に服します。この期間を「忌中」といい、それが終わる日を「忌明け」といいます。
仏教では「四十九日」が忌明けになり、この忌明け後に香典返しをするのが正式なしきたりです。日数は原則として亡くなった日を含めて数えますので、四十九日は死後49日目となります。なお、地域によっては三十五日を忌明けとするケースもあります。
香典返しは、忌明け法要(四十九日法要)を終えてから、その当日から1カ月以内くらいをめどにすみやかにお贈りします。
忌明け法要当日にお渡しするケース
忌明け法要を営み、香典をいただいた方を法要に招く場合は、その場で法事の引き出物と併せて香典返しをお渡しするケースもあります。香典返しの品物に挨拶状を付けておくと、引き出物と香典返しの区別ができます。
関西地方の場合は、のしの表書きを「満中陰志(香典返し)」と「粗供養(引き出物)」と書き分けることで区別することもできます。
参考:心が伝わるお礼の手紙・はがきマナー&文例集(杉本祐子 主婦の友社) 175ページ
四十九日後に郵送や宅配便でお送りするケース
郵送や宅配便で発送する場合は、忌明け法要の翌日から1カ月以内くらいに先様に到着するように手配しておくとよいでしょう。
時期に関する詳しい内容は、以下の関連記事をご参照ください。
香典返しを早めに行うことは可能?
最近は当日返し(即日返し)も
正式なしきたりではありませんが、最近では、葬儀当日に香典返しをすることもあります。受付で香典をいただいたときに、その場で香典返しをお渡しするというものです。
「渡し漏れがない(香典袋に名前を書き忘れる人もいるため)」「遺族の葬儀後の手間を省くことができる」というメリットがありますが、地域によっては「香典返しは四十九日法要のあと」とされているところもありますので、前もって確認しておくのがよいでしょう。
また、当日返しは香典の額にかかわらず一律の品物を用意するのが一般的ですので、過分な香典をいただいたときは、四十九日法要後に改めて香典返しをすることになります。
四十九日前に香典返しを行ってもいい?
近年は、上述のように葬儀当日にお渡しするケースもあり、しきたりが厳密でなくなってきているのも確かです。しかし、古くからの慣習を守っている地域や年配の方などは、四十九日後にお返しするのが常識と考えているケースも少なくありません。基本的なマナーに則って、お返しをするのが無難でしょう。
香典返しを贈り忘れて、遅れたら?
うっかり香典返しをお贈りするのを忘れてしまうこともあります。本来、香典返しは、四十九日後にお贈りするのが基本ですが、四十九日法要から1カ月以内くらいであれば問題ないとされています。
もし1カ月を超えるくらい遅れてしまった場合は、香典返しは郵送または宅配することになると思いますが、香典返しの品物に挨拶状を添えて、その中で遅くなってしまったお詫びの文章を記載するとよいでしょう。
なお、香典返しe-shopでは、香典返しが遅れた場合の挨拶状も無料でお付けいたしております。ぜひご活用ください。
浄土真宗や浄土宗の香典返しの時期は?
仏教では上述のように忌明けとなる四十九日後に香典返しをお贈りしますが、浄土真宗は成仏についての考え方が他の宗派とは異なります。
浄土真宗では、阿弥陀如来を信じ奉ることで誰もが仏になれるという教えのため、亡くなってすぐ成仏すると考えられており、忌中の概念もありません。
そのため、香典返しも四十九日を待たず、浄土真宗では初七日から1カ月以内に贈ることが多いです。
なお浄土宗は他の宗派と同じく四十九日以降に香典返しを贈ります。
神式の香典返しは五十日祭のあとに贈る
神式ではもともとは香典返しの慣習はありませんが、仏式に準じた方法で香典返しにあたる品物を贈るケースが多いです。
神式の場合、仏式の法要にあたるものを「霊祭」といい、亡くなった日を含めて50日目に営む霊祭を「五十日祭」といい、これが忌明けにあたります。また、亡くなって30日目の「三十日祭」を忌明けとすることもあります。
五十日祭では親族や故人の友人などを招いて祭式を行い、「直会(なおらい)」といわれる会食をします。香典返しにあたる品はこのときに贈るか、あるいはこの日以降に郵送等でお届けするとよいでしょう。
神式の香典返しに関する詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
参考:親の葬儀とその後事典 : 葬儀法要・相続・手続きのすべて(黒澤計男、 溝口博敬 法研) 87ページ
キリスト教式では1カ月後の追悼ミサや召天記念式でお礼の品を贈る
キリスト教の教えは仏教のそれとは異なるので、もともと忌明けという概念も香典返しの慣習もありません。しかし、日本には香典返しの慣習が根づいているため、それに準じてお礼の意味を含めて記念品を贈ることが多いようです。
キリスト教はカトリックとプロテスタントに大別されますが、カトリックでは亡くなって30日目に「追悼ミサ」を、プロテスタントでは亡くなって1カ月後に「召天記念式」を行います。このときか、この日以降にお礼の品物を贈ることが一般的です。
神式やキリスト教式の場合もお礼の品物に挨拶状を添える
香典返しにあたる品物の金額の目安や選び方は、仏式とほぼ同じです。
また、郵送や宅配で返礼品をお送りする場合は、挨拶状を添えるのも同じです。
ただし、神式やキリスト教式では「冥土」「成仏」「供養」「往生」などの仏教用語は使わないようにしましょう。
また、キリスト教では死は「神のもとに召される」ものであるため、「葬儀」や「永眠」などの言葉は使わず、「昇天(プロテスタントは召天)」とします。
参考:すぐ役立つお礼・祝いの手紙マナー&文例集(現代レター研究会 法研) 219ページ
無宗教の香典返しの時期
香典返しにあたる品物の金額の目安や選び方は、広く知られている仏式にならって行えば問題ないでしょう。香典返しの時期については無宗教の場合は、特に決まりはありませんので、1カ月や49日にこだわらなくてもよいでしょう。
まとめ
・仏式では四十九日の忌明け後に香典返しを贈る
・最近では四十九日を待たずに早くお返しをするケースもある
・香典返しが遅れたら挨拶状にお詫びの一文を
・神式では五十日祭後に香典返しにあたる品物を贈る
・キリスト教式では1カ月後の追悼ミサや召天記念式後に贈る