香典返しを贈るときは、品物にお礼状(挨拶状)を添えて贈ります。お礼状の書き方にはさまざまな決まり事があります。使ってはいけない「忌み言葉」もありますので、事前に確認しておきましょう。
ここでは、仏式で葬儀を営んだ場合のお礼状の書き方や注意点などについて紹介します。
目次
香典返しのお礼状は感謝の気持ちと忌が明けたことを伝えるもの
仏教では本来、四十九日の忌明け後に香典返しをするのがしきたりです。香典返しは、正式には直接伺ってお渡しするものですが、それが難しい場合は書面に感謝の気持ちを記し、品物に添えて贈ります。これが香典返しのお礼状です。
また、お礼状は忌が明けたことを報告するものでもあります。忌中は、遺族は原則として結婚式などの慶事に参加できませんし、周りの人もお祝い事に招くことを控えます。お礼状は、「その期間が終わりました」ということを知らせる役割もあります。
四十九日後にお送りするお礼状に関する詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
参考:短くても気持ちが伝わる手紙・はがき・一筆箋きちんとマナーハンドブック(杉本 祐子 主婦の友社) 173ページ
香典返しのお礼状の決まり事は?
句読点は使わない
通常、お礼状には「、」や「。」の句読点はつけずに一文字空けて書きます。そのいわれには、「お礼状はもともと毛筆で書いており、毛筆の書状では句読点を使わない」や「葬儀や法事が滞りなく流れますようにという意味を込めて、文章が途切れる句読点は使わない」など、諸説あります。
現在でもこの慣習を踏まえてお礼状に句読点をつけません。
忌み言葉は避ける
弔事のお礼状では、「重ね重ね」や「ますます」、「たびたび」などの「重ね言葉」は、不幸が繰り返されることを連想させるものなので使いません。
重ね重ね、ますます、たびたび、いよいよ、かえすがえす、重々、くれぐれも、ふたたび、続く、引き続き、次に、また、なお、死亡、急死、生きる など
参考:新版 葬儀・法要のあいさつ すぐに使える実例付き(藤村 英和 西東社) 12ページ
その他の注意点
重ね言葉と同じように「重なる」は弔事ではタブーなので、お礼状は一枚に収め、封筒も一重の白無地を用います。
お礼状に書く基本的な項目
香典返しのお礼状の一般的な構成
・「亡△△ ○○○儀 葬儀に関しましては……」のように、最初に祖父や父など喪主との続柄と故人の姓名(俗名)を記します。
②本文
●会葬や香典へのお礼
●四十九日法要をすませたこと
・戒名(法名)を入れる場合の例/「本日 ○○院○○○居士 四十九日法要を営みました」
●香典返しと同封する場合はその旨
●生前のお付き合いのお礼と今後のご支援へのお願い
●お礼状が略儀であることへのおわび
③日付
④喪主名(横に「親族一同」も書く)
参考:決定版 手紙とはがきのマナーと基本文例集(学研プラス) 124ページ
香典返しのお礼状の例
ここでは香典返しのお礼状の一般的な構成で説明した番号順に戒名を入れない場合の一例を紹介します。
先般は 亡父○○の葬儀に際し ご多忙中にもかかわらず
ご会葬を賜りかつご丁重なるご厚志を賜り
まことにありがとうございました
お陰をもちまして ○月○日に四十九日忌の法要を滞りなく営むことができました
つきましては 供養のしるしに心ばかりの品物をお届けいたしましたので
お納めいただければ幸いです
生前のご厚情に感謝申し上げますとともに
今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきとは存じますが
略儀ながら書中を持ってご挨拶申し上げます
令和○年○月○日
喪主 ○○○○○-○
親族一同
なお、以下の記事では、宗教別のお礼状の例や無料テンプレートなどもご用意していますのでぜひご参照ください。
手書きのお礼状(挨拶状)を送る場合
お店が用意している挨拶状を用いることが多いですが、中には「お世話になった方や親しい方には手書きでご挨拶したい」という場合もあります。
手書きの場合は縦書きが基本です。
文字の色は忌明け後に送るお礼状は濃い墨でよいとされていますが、薄墨でも問題ありません。
手書きの場合は、上記の例文をベースに「お相手の健康を気遣う文章を追加」したり、故人と親交の深かった方には、「故人が生前にお世話になったことをあげて、そのお礼を述べる」と、より気持ちが伝わるでしょう。
また、近況報告を書き添えてもよいでしょう。忌中には連絡しづらいこともありますので、安心してくださることもあるでしょう。
お返し不要の方へのお礼状の例文
香典返しを辞退された方や、会社関係など立場上香典返しを受け取れない方もいらっしゃいます。
お心遣いを受けとめ品物は贈らずに、お礼状で感謝の気持ちを伝えましょう。
送るタイミングは通常の香典返しと同じ忌明け後です。
いただいた香典のお礼と、四十九日法要が無事終わったことをお伝えしましょう。
先般は 亡父○○の葬儀に際し ご多忙中にもかかわらず
ご会葬を賜りかつご丁重なるご厚志を賜り
誠にありがたく厚くお礼申し上げます
お陰をもちまして ○月○日に四十九日忌の法要を滞りなく営むことができました
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきとは存じますが
略儀ながら書中を持ってご挨拶申し上げます
なお返礼不要とのお心遣いをいただき誠に有難く
心より感謝申し上げます
お言葉に甘えまして家族と相談の上
故人が好きだった〇〇〇〇を霊前に供えさせていただきましたことをご報告申し上げます
生前のご厚情に感謝申し上げますとともに
今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
令和○年○月○日
喪主 ○○○○○-○
親族一同
まとめ
・香典返しのお礼状は忌が明けたことを伝える役割もある
・お礼状を書くときは忌み言葉に注意する
・お礼状を書いたあと、必要な項目が抜けていないかきちんとチェックする