通夜や葬儀・告別式などに参列する際に持参する香典。香典袋を用意したらお金を入れますが、入れ方はご存知でしょうか。香典の入れ方にはお札の種類や向きなど、いくつかのマナーがあります。ここでは、香典袋へのお札の入れ方・包み方について解説します。
目次
まず、お札の裏表・上下を確認しよう
香典袋にお金を入れる前に、まず、お札の裏表を確認しましょう。
これはイメージどおりではありますが、お札は人物の描かれている方が「表」で、人物の描かれていない方が「裏」になります。
また、お札には「上下」があります。縦にしたときに左側の金額が書かれている方が「上」で、右側の人物の描かれている方が「下」になります。
画像の一万円札は「表」左側が「上」
香典のお札の入れ方
中袋がない場合のお札の入れ方
香典袋のお札の入れ方は、袋の「表」に対して、お札が「裏」となるように入れるのが、一般的なマナーとされています。
お札を裏にするのは、香典はお悔やみなので「顔」を伏せるという意味が込められているといわれます。
お札の「上下」に関しては、人物の描かれている方を下にするという説と、人物の描かれている方を上にするという2つの説があります。地域によっても差があるようで、お札が裏を向いていれば、お札の上下に関しては、それほど気にする必要はないでしょう。
中袋がない場合・香典袋の表に対してお札が裏側
中袋がある場合のお札の入れ方
市販の香典袋には、たいていは中袋がついており、香典袋に直接ではなく、中袋(内袋)に入れるのが一般的です。このとき、中袋の表に対してお札が裏側になるように入れます。
中袋の表に対してお札が裏側
中袋がない場合の注意点としては、通常、中袋には住所・氏名・金額を記入する欄がありますが、中袋に入れない場合は、香典袋に直接記入する必要がありますので、忘れないようにしましょう。
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葬儀や法事に招かれたとき、故人を弔うために霊前にお供えするのが「香典」 ...
中包み(奉書紙)への入れ方
香典袋の種類によっては、中袋が中包み(奉書紙)になっているものもあります。折り目に沿ってお金を入れるようすればいいのですが、そのときも、中包みの表に対してお札が裏側になるように気を付けます。中包みをたたんでいった際に、最後に折った紙が裏側になります。
奉書紙の表に対してお札が裏側
お札の種類、新札と旧札について
香典に関しては、新札を避けるのがマナーとされています。新札は、不幸が来るのを待っていたと思われるからといわれます。
ただし、あまりに汚れていたり、しわになった紙幣を使うのも失礼にあたります。適度に使用感があって、新札でないものを用意するにしましょう。新札しかない場合は、折り目を付けてから包むようにするとよいでしょう。
また、お札を複数枚用意するときは同じ種類に統一します。2枚以上お札があるときは、お札の裏表や、上下の向きを揃えるようにします。
参考:これでカンペキ! 大人のマナー常識大全(幸運社 PHP研究所)
香典袋の種類と金額にも注意
香典袋には、水引が印刷された簡易なものから、高級和紙を使用したものなど、さまざまなタイプがあります。香典袋を選ぶときは、中に入れる金額に応じて選ぶようにします。
金額が5千円以下であれば、水引が印刷された簡易タイプを。1万円から3万円ぐらいまでなら、水引が別についた高級なタイプを。中の金額と不釣り合いな香典袋を選ばないよう注意しましょう。
参考:最新版すぐ役立つ贈答のルールとお金の事典(21世紀マナー研究会 法研)
香典袋の閉じ方・包み方について
香典袋の種類によっては、封筒タイプではなく、1枚の和紙で折り込むタイプのものがあります。
水引が印刷ではなく、折ったあとに結ぶタイプですが、注意しなければならないのは、裏側の折り込み口です。
左右から折り込んで、最後に上下から抑えるようになっていますが、香典の場合は、最後の折り込み口を「上」から「下」へかぶせるように折ります。
ちなみに、結婚式などの祝い事の祝儀袋は下側を上にします。これは幸せをこぼさないようにという意味があります。反対に香典では、涙をためないように、上にかぶせるという意味があるようです。
裏の折り返しは、弔事の場合は上側が上になるように重ねる
葬式・葬儀・お通夜の香典の入れ方は?
葬式・葬儀・お通夜に参列するときには、故人へのお悔やみの気持ちを表す香典を用意します。
香典に入れるお金は、新札を用意すると失礼に当たります。新札だと亡くなることを見越して用意していたと捉えられてしまいますので、折り目があるものを用意する必要があり、反対に破れかかっていたり汚れていたりするお札も避けましょう。
もし新札しか手元にない場合は、適度に折り目をつけると良いです。また、お札が2枚以上ある場合にはお札の向きを揃えて入れなければいけません。
お金を中袋に入れたら、外包みで包むようにしましょう。中には中袋のない香典袋のみのものも売られているので、その場合であれば中袋はなくても構いません。金額や名前などは薄墨で書きます。
四十九日や一周忌など法事の香典の入れ方は?
亡くなってから四十九日を過ぎると、香典袋の表書きが変わります。49日より前は「御霊前」、49日を過ぎてからは「御仏前」と書きます。
四十九日や一周忌などで使用する香典には、すでに日程が分かっていることなので新札を入れても失礼に当たりません。
新札でなくても大丈夫ですが、シワシワであったり汚れたりしたお札は避けましょう。
お札を入れるときに注意する点として、表側からお札の肖像が描かれている面が見えないように包みましょう。
法事でも2枚以上お札を包む場合には、お札の向きを揃えて包みます。四十九日や一周忌の香典袋の表書きは、薄墨ではなく濃い墨で書くのが一般的です。薄墨で書くのは四十九日までとされています。
5000円の香典の入れ方、お札の向きは?
香典として包む金額で多いのが5000円です。
葬式やお通夜であれば突然であることが考えられるので、5000円札が用意できず1000円札5枚でも失礼にはなりません。もし1000円札5枚になるときには、お札の向きを揃えることを忘れないようにしましょう。
法事の時には事前にわかっていることなので、5000円札を用意するのが無難です。
お札には表と裏があるので、香典袋に入れるときには表側にお札の肖像が描かれている面が見えないように入れます。お金の入れ方は、5000円でもいくらであっても同じです。
お札の肖像が見えないように入れることと、新札は入れないようにします。金額を書く部分には「金伍阡圓」でも「五千円」でも構いません。
ふくさへの香典の包み方
葬儀に参列するときのマナーとして、香典はふくさに包んで持参するようにします。
ふくさには慶弔用がありますので、弔事で使用できる紺や紫などの寒色系のふくさを用意しましょう。
ふくさの香典の入れ方は、まずふくさを裏向きで角が上下に来るように広げ、その中央に香典を表向きで置きます。
その後、右側、下側、上側の順番に折りながら包みます。最後に残った左側を折り、端を裏側に入れ込めば完成です。
受付や親族に香典をふくさごと渡すわけではなく、渡す前にふくさから取り出して受け取る相手側から表書きが読める向きで手渡しましょう。香典を渡す時には、故人に対するお悔やみの言葉も添えて渡します。
参考:この1冊でOK!一生使えるマナーと作法(明石伸子 ナツメ社) 48ページ
まとめ
・香典袋の「表」に対して、お札が「裏」となるように入れる。
・香典の中袋に入れる場合も、表と裏に注意していれる。
・新札ではなく、できるだけ旧札を用意しよう。
・香典袋のタイプは、金額に応じて選ぶ。
・5000円を包む場合には、お通夜や葬式なら1000円札5枚でもよい。
・香典はふくさに入れて持参し、手渡す前にふくさから取り出すのがマナー。