葬儀が一段落し、四十九日を迎える頃になると「香典返しに何を贈ろうか」と迷われている方もいるのではないでしょうか。香典返しの品物として「佃煮」も人気です。なかには「香典返しに佃煮を贈って大丈夫?」と思う人もいるかもしれません。ここでは、香典返しにおすすめの佃煮を贈るときの注意点などについて解説します。
目次
香典返しの食品を選ぶ際の一般的なマナー
まず、香典返しでは、どのような品物を選んだらよいのでしょうか。一般的にはいわゆる「消えもの」と呼ばれる、日常で使ってなくなるもの、後に残らないものがよいとされています。これには、悲しみや不幸を残さないで「消しとる、洗い流す」という意味が込められています。
日用品であれば、せっけんやタオルなど、また食べ物や飲み物、調味料などは、食べたり使ったりしてなくなる「消えもの」なので、香典返しにふさわしいものとして選ばれています。
例えば、使い切れてかつ日持ちがよいものとして、海苔や素麺、お茶、コーヒー、醤油、サラダ油、ふりかけなども定番品として人気です。
参考:親の葬儀とその後事典 : 葬儀法要・相続・手続きのすべて(黒澤計男、 溝口博敬 株式会社 法研) 86ページ
香典返しでタブーの食品は?
ただし、食品の中にも香典返しにはふさわしくないとされているものがあります。代表的なものが「生臭もの」といわれる生肉や生魚です。
これは、仏教では昔からタブーとされていた食物ということもあり、香典返しとしてはふさわしくないといわれています。
ただ、生肉や生魚は宗教的な背景だけでなく日持ちも悪いため、香典返しのような贈答品には元来向かない品物といえるでしょう。
また、慶事を連想させるものとして、神事で用いられる「お酒(日本酒)」や「昆布(よろこぶ)」「鰹節」などもタブーとされています。
参考:【図解】身内が亡くなったときの届出と手続きのすべて 2022年版(宮田浩志 Mynavi Publishing Corporation) 35ページ
香典返しになぜ佃煮がいいのか?
では、カツオやタラ、シラス、サバなどの魚を原料とした「佃煮」は香典返しの品物として選んでもいいのでしょうか?
タブーとされている肉や魚は「生もの」のことであり、火が通り、加工された佃煮は贈ってもよいのです。
また、佃煮の種類によっては、慶事を連想させる「昆布」や「鰹節」などが含まれているものがありますが、それは「鰹節」単体としての品物ではなく、あくまでも材料なので問題ありません。
佃煮は「消えもの」で、ある程度保存がきいて幅広い世代の方に味わっていただける一品としておすすめです。
佃煮の種類にはどんなものがある? 人気の佃煮は?
佃煮は、基本的に醤油や砂糖で甘辛く煮付けた昔ながらの食べ物です。
佃(つくだ)煮という名前にあるように、佃島の漁師たちが、非常時の食料として小魚や貝などを塩や醤油で煮詰めたものが江戸の庶民に広まり、さらに全国に広まったといわれています。
醤油と砂糖で煮詰めて簡単に作ることができるので、魚類では、ちりめんじゃこなどの小魚をはじめ、カツオやマグロ、サケ、エビ、貝類では、アサリ、シジミ、カキなどがあります。
また海藻類では、昆布や海苔、ヒジキ、山菜・野菜類では、シソ、山椒、シイタケ、キクラゲ、変わったところでは、イナゴなど、さまざまな種類の佃煮があります。
そして、こうしたさまざまな種類の佃煮が味わえる詰め合わせセットも人気です。
佃煮の活用法は?
佃煮は日本の家庭では、昔から「ごはん」のお供として愛されてきました。白いご飯の上にのせていただいたり、そのまま酒の肴としていただくのが定番です。
また、ご飯に乗せた佃煮のうえからお茶や出汁をかけて「お茶漬け」にして召し上がる方もいるのではないでしょうか。
ご飯のお供として「ちょっと飽きてきたな」という場合は、佃煮をちょっとアレンジして活用することもできます。
佃煮はあらかじめ、醤油や砂糖で味付けがされているので、そのままチャーハンの具として炒めてもおいしくいただけます。
また、炊飯器に研いだお米と一緒に混ぜて、炊き込みご飯にしてもかなりおいしいと評判です。
ご飯以外のアレンジならパスタがおすすめです。ゆでたパスタと佃煮を絡めるだけで和風パスタの完成です。
このように佃煮はベースにほどよい味付けがされているので、さまざまな料理に活用できます。
佃煮はどんな人におすすめ?
佃煮というと、昔の家庭ならご飯のお供として欠かせない存在でしたので、おすすめとしては、昔から佃煮に馴染んでいた御年輩の方には大変喜ばれる一品です。
また人によっては昔を懐かしんで味わっていただけるでしょう。
佃煮にあまり馴染みがない若い世代の人には、簡単に食べられる美味しい食品としてその魅力を発見してもらえるかもしれません。
つまり、佃煮は世代や性別を問わず、すべての人に贈ることができる品物といえるでしょう。
佃煮以外の食品はどんな品物が選ばれている?
食べ物は人によって好き嫌いや好みがありますので、そうしたことがあらかじめわかっている人になら、相手の好みのものを選んで贈ってもよいでしょう。
佃煮以外では、同じように「ある程度保存が利く」食べ物として、梅干しなども人気の一つです。
また、いただいた香典の金額を「半返し」となるように調整するときに、佃煮とセットで「お味噌汁」や「お吸い物」などと合わせてみてはいかがでしょう。
また、佃煮をよりおいしく味わって頂けるよう、ちょっと高級な「お米」のギフトセットと組み合わせてみてもいいかもしれません。
まとめ
・「消えもの」で、ある程度保存が利き、ご飯のお供に最適な佃煮は、香典返しにもぴったりの一品。
・佃煮は、年配の方には馴染み深く、若い世代には便利で美味しい食品として幅広い人におすすめ。
・和食にはもちろん、洋風にアレンジしたり、工夫次第でさまざまに活用できるのも魅力。