葬儀や通夜の際にいただく香典のお返しは、四十九日明けにお贈りするのがマナーとなっています。一方、四十九日法要の引き出物は、法事に参列してくださった方からいただく香典やお供物に対するお返しです。
香典返しと四十九日法要の引き出物は、贈るタイミングが重なることが多いため混同しがちです。そこで、香典返しと四十九日法要の引き出物の違いについてご説明します。
目次
「香典返し」と「四十九日法要の引き出物」は何に対する返礼?
香典返しは葬儀・通夜の時にいただいた香典のお返し
仏教では、故人が極楽浄土に行けるように亡くなってから7日ごとに7回の追善法要を営みます。
初七日から始まり、特に七七日(四十九日)は忌明けとなる大事な区切りとなることから、親戚や知人を招いて四十九日法要が執り行われるのが一般的です。
そして、「香典返し」は通夜や葬儀などのときにいただいた「御霊前」や「御香典」に対するお礼の品です。
最近では葬儀当日に香典返しをするケースもありますが、もともと香典返しは四十九日の忌明け後に行うのがしきたりです。
香典返しに関する詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
四十九日の引き出物は法要の際にいただく香典のお返し
一方、「四十九日法要の引き出物」は、法要に参列してくださった方からいただいた「御仏前」や「御供物料(おくもつりょう)」、「御香典」に対するお礼の品です。
四十九日法要と香典返しの時期が同じことが混同の原因になりますが、そもそもお礼の対象が違うため、この2つは別のものです。
従って、同じ方から葬儀の際に香典と、四十九日法要の際に御仏前(御供物料・御香典)の両方をいただいた場合は、香典返しと四十九日法要の引き出物の両方をお渡しするのが正しいマナーといえます。
四十九日法要のお返しに関する詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
参考:眠れなくなるほど面白い図解日本のしきたり(千葉公慈 株式会社日本文芸社) 123ページ
香典返しと四十九日法要の引き出物の渡し方は?
香典返しは、忌明け後に郵送でお送りするのが主流
香典返しは、最近は当日返しで葬儀の当日にお渡しするケースもありますが、四十九日の忌明け後にお送りするのが本来のマナーで、郵送または宅配便でお送りするケースが主流です。
参考:短くても気持ちが伝わる手紙・はがき・一筆箋きちんとマナーハンドブック(杉本祐子 主婦の友社) 173ページ
四十九日法要の引き出物は参列者に直接お渡しする
四十九日法要の引き出物は、法要の当日に参列者に直接お渡しします。
四十九日法要の会食がお開きになる前に、参列者に引き出物(引き物)としてお返しの品物をお渡しして、お持ち帰りいただきます。
また、四十九日法要を欠席してお香典だけをいただいたり、予想外に多くのお香典をいただくケースもあります。
このような場合は四十九日法要から1カ月以内くらいに、3分の1から半返しになるよう品物と挨拶状を郵送や宅配便で送ります。
香典返しと四十九日法要の引き出物は、のしや挨拶状で区別が可能
葬儀の際にお香典をいただいて、その方が四十九日法要に参列される場合は、法要の当日に香典返しと四十九日法要の引き出物を一緒にお渡しすることも可能です。
その場合は、のしの表書きを変えたり、あえて挨拶状をお付けすることで、違いを示すことができます。
例えば、関西地方であれば、忌明け後の香典返しののしの表書きは「満中陰志」と書き、四十九日法要の引き出物ののしに「粗供養」と書くことで見分けがつきます。
また、内容の異なる挨拶状をそれぞれにお付けすることで返礼品の趣旨をお伝えすることも可能です。
香典返しe-shopでは、用途や品物ごとにのしや挨拶状も臨機応変に対応できますので、ぜひご活用ください。
香典返しと四十九日法要の引き出物、品物の違いは?
香典返しでお贈りする品物は、消えものと呼ばれる食品やお茶、洗剤、タオルなどのほか、贈り先様が品物を選ぶことができるカタログギフトなどがよく選ばれます。
四十九日法要の引き出物も、香典返しと同じく消えものやカタログギフトなどに加えて、日用品なども選ばれます。
四十九日法要の引き出物は、法要当日にお持ち帰りいただきますので、かさばらず軽めのものが良いでしょう。
また、地域によっては「引き菓子」と呼ばれるお菓子を添えるケースもあります。これには、参列者が帰宅後にお菓子を分かち合いながら故人を偲んでください、という意味が込められています。
香典返しと四十九日の引き出物の比較一覧
香典返しと四十九日の引き出物の違いをまとめると以下のようになります。
香典返し | 四十九日の引き出物 | |
返礼の対象 | 通夜や葬儀の際にいただく「御香典」「御霊前」「御仏前」 | 四十九日法要の当日にいただく「御仏前」「御香典」「御供物料(おくもつりょう)」 |
返礼の時期 | 四十九日明けが基本 | 四十九日法要当日にお持ち帰りいただく |
品物 | 食品やお茶、タオル、カタログギフトなど | 香典返しと同じく食品やお茶、タオル、日用品、カタログギフトなど かさばらないものが良い。引き菓子を添える地域もある |
金額の目安 | 半返しが目安 当日返しをした場合、高額な香典には後日改めて香典返し |
引き出物と会食を合わせて半返しが多い 引き出物代2~5千円+会食費3千円~1万円 |
のしの表書き | 「志」「忌明志」「満中陰志」(関西の場合)など | 「志」「粗供養」(関西の場合)など |
まとめ
・「香典返し」は通夜や葬儀の際にいただいた「御霊前」や「御香典」に対するお礼
・「四十九日法要の引き出物」は法要の際にいただいた「御仏前」「御香典」「御供物料」に対するお礼
・どちらもいただいた金額の3分の1から半返しを目安にする
・返礼品は、どちらも消えものや消耗品が一般的
・葬儀の際と四十九日法要の両方で香典をいただいた場合は、両方のお返しが必要