新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな分野でこれまでとは異なる新しいスタイル(様式)が求められています。これは、葬儀においても例外ではありません。ここでは、コロナ禍における香典返しや挨拶状などは、どのようにすればいいのか、解説します。
目次
葬儀はコロナの影響でどう変わった?
新型コロナの影響で、葬儀はどのように変わったのでしょうか。
感染拡大が広がりを見せた2020年前半には、葬儀の規模を縮小したり、参列者の数を絞るなど、場合よっては遺族のみで簡素に葬儀を済ませるケースが増えていました。
また、簡素な葬儀を済ませておいて、後日ある程度コロナが終息してから「お別れの会」を行うなどの対応を取るケースもあります。
中には、「オンライン葬儀」や「リモート葬儀」と呼ばれる形式で、事情によって参列できない親戚や知人に向けて、ネット中継を行うスタイルも生まれています。
ただ、こうしたリモート葬儀は一部の会社のサービスに限られており、実際にはこれまでと同様に人々が集まって行う形が主流です。
リモート葬儀では、参列者の側にオンラインで参加できる環境が必要なため、ネット機材を持っていない年配の方やシステムの操作ができない人は、そもそも参加することは不可能なためです。
参考:【図解】身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2022年版(曽根恵子 扶桑社) 6ページ
法事はコロナの影響でどう変わった?
法事に関しても、事情は葬儀と同様です。新型コロナが感染拡大しやすい環境を避けるため、規模を縮小したり、延期したりするケースも少なくありません。
また、オンラインによる法事などのサービスを行っている葬儀社や斎場も現れ始めていますが、これは一部に限られています。
一方で最近では、新型コロナの対策をどのようにすればいいか、さまざまな方法で予防のためのノウハウも浸透しつつあり、人が集まりながらも感染を予防する対策を取って、法事を再開するお寺や斎場も増えています。
葬儀や法事を行うことの目的は、単に故人を弔うということだけでなく、家族や親戚、あるいは知人・友人が一同に会して、互いの絆を改めて深める場でもあるわけです。
そうした法事の意義を考えるなら、コロナ禍だからといって単に中止するだけではなく、マスクの着用や人が触れる場所の除菌、手のアルコール消毒、3密に注意するなど、コロナ対策を徹底している斎場やお寺、飲食店を活用するのも一つの方法といえるでしょう。
香典のみが送られてきたら、どうすればいい?
コロナ禍では、感染拡大の予防の観点から、人の移動をできるだけ抑えることが求められています。遠方にいるなど、さまざまな事情で葬儀や法事に参列できない方もいるでしょう。参列できないということで、せめても香典だけは届けたいと、郵送などで送る人もいるはずです。
こうした香典のみ送られてきた場合も、わざわざ参列していただいたい方と気持ちはまったくいっしょのはず。決して失礼ではありません。むしろ、わざわざ香典を送っていたことに感謝すべきです。
最近では、オンラインによる香典サービスというものも一部にはありますが、故人と弔っていただく気持ちに変わりはありません。受け取った香典はどのような形であれ、後日、きちんと香典返しを行うようにしましょう。
コロナ禍で香典返しの相場は?
コロナ禍だからといって、香典返しに関わる相場が変化することはありません。
そもそも相互扶助という香典本来の意義を考えれば、頂いた香典の「半返し」が基本という、これまでの相場を踏襲してしかるべきです。具体的にいえば、1万円頂いた場合は、5千円相当の香典返しを用意してお贈りするというのが原則です。
葬儀を縮小した場合、香典返しの挨拶状の文例は?
葬儀の規模を縮小した場合、香典返しの挨拶状であれば、香典を頂いている方への挨拶ということになりますから、参列いただけなかった人への挨拶とは異なり、特にお詫びなどの文章を書く必要はありません。
ただし、葬儀の規模を縮小したにも関わらず、香典のみを送って頂いた場合は、規模を縮小したことのお詫びと、香典へのお礼を添えて出す必要があります。
文例
故人が生前に賜りました御厚誼に対し 衷心より深く御礼申し上げます
なお 葬儀に関しましては 昨今の新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みて
規模を縮小し 近親者にて相済ませましたことをご報告させていただきます
こうした事情にも関わらず 丁重なご芳志を賜りましたこと心より御礼申し上げます
つきましては心ばかりの品をお送りいたしましたのでご受納のほどよろしくお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもって謹んでご挨拶申し上げます
法事を中止した場合、香典返しの挨拶状の文例は?
法事を中止した場合、特に一周忌などで香典を頂くことはあまりないかと思いますが、四十九日を行う予定で急遽中止した場合、香典を郵送などで頂いた方には、やはりきちんと香典返しを行うべきです。
挨拶状の文例としては、法事を中止(あるいは家族だけの法事で、親戚や知人は呼ばなかった)ことや、コロナ禍によってやむを得なかったこと、香典に対してのお礼などを書くようにします。
文例
時下ますますご健勝のことと拝察申し上げます
先般●月●日 亡母●●の七回忌法要はコロナウイルス感染拡大の影響により
やむを得ず中止となりました
本来であれば皆様にご会葬賜り法要を営むところでございましたが
昨今の状況を考慮しこの度の運びとなりました
このような事情にも関わらず 丁重なるご厚志を賜り厚く御礼申し上げます
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお届けいたしましたので
何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
令和●年 ●月 ●日 ●●
香典返しの購入は、対面せず注文できる通販サイトがおすすめ
香典返しを送る場合、四十九日を過ぎた忌明けに贈るケースが、もっとも多いかと思います。通夜や葬儀などが済み、ひと段落してから香典を頂いた方々に、どのような品物を送ったらよいのか、あれこれと準備するわけですが、コロナ禍では外出を控えるべきと考える人も多いでしょうし、香典返しを準備する場合も、外に出向いて対面であれこれと相談するのは、なるべく少なくしたいと思うのではないでしょうか。
こうした場合、人と対面せずに品物を注文できる通販サイトは大変便利です。
具体的な品物の種類や個数、届け先など、また、ショップによっては、香典返しに添える挨拶状の文面など、電話やメールであらゆることを相談できます。香典返しを購入する際は、ぜひ利用してみましょう。
まとめ
・新型コロナの影響で、葬儀や法事の規模は、若干縮小傾向にあり。
・ただし、コロナ禍であっても、香典返しの相場など、基本的なルールはこれまでと一緒。
・コロナ禍での香典返しの購入には、対面せず注文できる通販サイトをぜひ利用しよう。