香典返しに贈る品物にはどんなものがあるでしょうか? いわゆる「消えもの」の中でも、長期保存が効くために人気となっている一品が「お米」です。香典返しにお米というのは意外な感じを受ける人もいるかもしれませんが、ここでは香典返しのお米についてご紹介します。
目次
香典返しとお米の関係は?
香典返しとお米にはどんな関係があるのでしょうか。
昔の日本の葬儀では、食事の炊き出しなどでたくさんの食物を必要としたため、香典として「お米」を持ち寄るという風習があったそうです。こうしたお米を持ち寄る風習から、やがて線香やお供え物を持ち寄るようになり、江戸時代に入り遺族への心づけとしてお金を渡すようになったのが、現在にまで続く「香典」というわけです。
さらに、こうした香典に対して感謝の気持ちを込めてお返しを贈ったのが香典返しというわけです。香典返しとして「お米」を贈るのは、ある意味で香典のルーツを思わせるようで、趣き深い選択肢といえるのではないでしょうか。
参考:心に響く! 美しい「日本の伝統」1200(西東社編集部 西東社) 192ページ
香典返しにお米を贈ってもいいの?
ところで、香典返しにふさわしい品物にはどんなものがあるでしょうか。
香典返しには、使ったり食べてなくなる「消えもの」がよいとされています。逆に、後にいつまでも残るものはふさわしくないということです。消えものには、食べ物でいえば、お茶やお菓子、使ってなくなるものとしては、石鹸や手ぬぐい、タオルなどがあります。
では「お米」は、香典返しの品物としてどうでしょうか。
結論からいえば、お米という選択肢には、まったく問題はなく、古くは香典のルーツとして用いられていたことを考えれば、もっと選ばれてもおかしくない品物といえるでしょう。ただし、お米は「重さ」がそれなりにあるので、例えば「即日返し」のように葬儀の当日に参列者が持ち帰ることを考えると選択肢として頭に浮かぶことはないかもしれません。
しかし、四十九日の忌明け後に贈る、本来の意味での香典返しとなれば、お米のように多少重い品物であっても、参列者のご自宅に手軽にお届けできる現代の輸送システムのもとでは、さらに注目されていく一品といえるのではないでしょうか。
参考:内山節と語る未来社会のデザイン2 資本主義を乗りこえる(内山節) 21ページ
香典返しにお米を贈る場合の注意点は?
香典返しにお米を贈る場合の注意点としては、これは他の商品にも共通することですが、日常用いる、いわゆる「普段使い」の商品ではなく、「少し特別な商品」、ある意味で「贅沢品」を選ぶことをお勧めします。
贈り物とは感謝の気持ちを込めて贈るものであり、贈った相手に喜んでもらえることが一番です。お茶にせよ、お菓子にせよ、普段はあまり食べない、特別なお茶やお菓子は、贈られた方も嬉しいものです。
頂いた香典の半返しということであれば、「量より質」ということで、普段のお米よりも少し高級なものを選んでみてはいかがでしょうか。
お米の食べ比べセットなどが人気
食料品としての「お米」といえば、一つの品種を2キロや5キロなどの袋詰めにしたものを思い浮かべますが、最近では、さまざまな品種をきれいにパッケージに詰めた、ギフト専用の「お米」が各種揃っています。
ブランド米である新潟県の魚沼産こしひかりを始め、秋田県産あきたこまちや岩手県産ひとめぼれなど、さらに、それぞれを小分けにした食べ比べセットなどの商品も人気です。
こうした小パックの品物なら、香典返しとしてそれぞれ頂いた金額の半返し、または3分の2程度になるように調整して贈ることもできるので、大変便利です。
お米を使ったお菓子も手軽で便利
香典返しの品物としては「お米」のほかに、お米を使ったお菓子も手軽でお勧めです。お米を使ったお菓子の代表といえば、やはり「せんべい」でしょう。和のお菓子としては「おかき」や「揚げせんべい」などが定番です。
その他、お米を使ったお菓子としては、洋風の「フロランタン」や「ガトーショコラ」「マフィン」などのお菓子にも、お米を原料として用いた品物があります。一風変わった香典返しの品物として、選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
参考:この1冊でOK!一生使えるマナーと作法(明石伸子 ナツメ社) 61ページ
お米券を送ってもいいの? 送り方は?
香典返しにお米を贈る際、おしゃれなパッケージもいいけれど、できればボリュームある品物を贈りたいと考える方もいるでしょう。しかも贈った相手の邪魔にならないように、必要なときに食べてもらいたいというなら、お米券が便利です。お米券はカードなので、香典返しとして失礼にならないのかと心配な方もいるかもしれません。
特に御年輩の方など、人によっては失礼と感じるかもしれませんので、そこは配慮したいところですが、理解していただける方なら、必要なときに引換できるので、むしろ喜ばれるでしょう。
贈り方は注文すれば、販売店の方から宅配便などで相手に直接送付してもられるので、とても簡単です。
お米を選べるカタログギフトも
香典返しとして人気の「カタログギフト」では、商品としてお米を選ぶこともできます。
中には、通常では手に入りにくい日本各地の名米を集めた「カタログギフト」などもあり、カタログのページをめくるだけでも、さまざまなお米の産地の風景や「いわれ」などについて、目でも知識としても楽しむこともできます。
贈った相手に、好きなブランドを選んで頂きたい向きにはぴったりの商品ではないでしょうか。
まとめ
・香典のルーツに「お米」あり。お米は、香典返しにもぴったりの一品。
・香典返しにお米を選ぶときは、「普段使い」より一段高い贅沢品を選ぼう。
・選択肢としては、お米の食べ比べセットのほか「お米券」や「カタログギフト」もあり。