葬儀を終えて、忌明けを迎えると、遺族の方も一区切り。残すところは、葬儀や法要でお世話になった人々への「忌明けのお返し」です。ところで、忌明けのお返しは、どうすればいいのでしょうか? ここではお返しの時期や金額、のしやお礼状の書き方などについて解説します。
目次
忌明けのお返しとは
忌明けとは、四十九日の法要が済み喪に服する期間が明けることを指しています。
つまり、忌明けのお返しとは、通夜や葬儀、四十九日法要でいただいた「香典のお返し」として品物などを贈ることをいいます。
そのため、「香典返し」と「忌明けのお返し」は同じといえます。
忌明け近くになったら通夜や葬儀でいただいた香典や供物にして、それぞれどれぐらいのお返しをすべきか、チェックしてみましょう。
近年は葬儀の日に「当日返し」として香典返しを行うこともあるので、当日返しを行っていた場合は、その分を差し引いた額のお返しを行うようにします。
忌明けのお返しの品物は何がいい?
忌明けのお返しや香典返しにおすすめの品物としては、一般的に使ってなくなる、いわゆる「消えもの」がよいとされています。
葬儀は不祝儀に当たるので、後に残さない「消えもの」をお返しするのがマナーといえます。
消えものとしてよく選ばれているのは、日常的に使うものです。お茶やのり、調味料などは消耗品なので、消えもののお返しとしては最適です。
また、せんべいやおかきなどのお菓子のほか、コーヒーや紅茶なども消えものとして選ばれています。
そのほかに消えものとしては石けんや洗剤、シャンプーなどがあります。タオルや寝具なども消耗品なので消えものと考えてもよいでしょう。
また最近ではお返しの品物としては、相手の方が自由に品物を選ぶことができるカタログギフトも人気です。
肉や魚などの食べ物は、腐りやすいということや、「生臭もの」を避けるという仏教的な理由からも適しません。
神事に用いられる酒や昆布も忌明けのお返しには不向きです。これらの品物は、マナーとしても避けるべきです。
〇忌明けのお返しに適した品物
・食料品(お茶、のり、調味料、お菓子など)
・石けん、洗剤、タオル
・食器などの日用品
・カタログギフト など
×適さない品物
・生臭もの(肉、魚など)、その他腐りやすい物
・神事に用いられるもの(酒、昆布) など
忌明けのお返しの金額の相場は?
忌明けのお返しの金額の相場としては、いただいた香典の3分の1から2分の1程度、いわゆる「半返し」が基本です。
通夜や葬儀に当日返しを行っていた場合、その金額を差し引いてお返しを用意するようにします。
例えば、いただいた香典の額が1万円ならば、5千円程度のお返しをすることになります。
高額の香典をいただいた場合、親族や身内の場合であれば、半返しにこだわる必要はないでしょう。扶助の気持ちを汲んで4分の1や3分の1程度のお返しにとどめておいてもよいかと思います。
ただし、親族ではない、知人などから高額の香典をいただいた場合は、感謝の気持ちを伝えるためにも、きちんと「半返し」となるようにお返ししたほうがいいでしょう。
参考:冠婚葬祭・おつきあいのQ&A(杉本祐子 主婦の友社) 58ページ
忌明けのお返しにつける「のし」は?
忌明けのお返しには、弔事用ののし紙を用います。
のし紙の水引は黒と白の結びきりが一般的です。関西地方など地域によっては黄色と白の結びきりを用いることもあります。
のし紙の付け方としては、品物に直接のし紙を付けて、その上から包装紙で包む「内のし」と、品物を包装紙で包んでからのし紙を付ける「外のし」とがあります。
地域や慣習によって異なりますが、郵送や宅配便などを利用する場合は、配達の都合も考えて「内のし」になるでしょう。
忌明けのお返しの場合、のしの表書きは「志」と書くのが一般的です。「志」であれば、宗教や宗派の違いがあっても一般的に用いられるので、迷ったときは「志」としておくと無難です。
参考:おつきあい&マナー大事典(学研ライフ&フーズ編集室 学研パブリッシング) 16ページ
蓮入りは仏教の場合のみ使用可能。他宗教の場合は水引のみのかけ紙を使う。
なお、西日本では「満中陰志」と書く地域もありますが、「満中陰志」は仏教だけに用いる表書きとなります。
忌明けのお返しのお礼状・挨拶状の文例
忌明けのお返しには、お礼状を付けるようにしましょう。
お返しの品物を贈るという行為は、香典を頂いたことへの感謝と御礼という意味があります。品物だけを形式的に贈るのではなく、忌明けが無事に済んだことの報告も相手への感謝を伝えるという点では大事なことです。
以下は忌明けのお返しのお礼状の文例です。文例は必要最低限のものですので、この中に遺族の近況などを短く書き加えてもよいでしょう。
忌明けのお返しのお礼状の例文・文例
先般は 亡父●●儀の葬儀に際しまして
御多忙中にもかかわらず 御鄭重なご厚志を賜り 心より御礼申し上げます
お陰様をもちまして四十九日の法要を滞りなく営み
忌明けを迎えることとなりました
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたします
何卒ご受納お願い申し上げます
略儀ながら書中をもちまして ご挨拶申し上げます
令和●●年●月●日
なお、忌明けの挨拶状は、香典返し専門店のサービスを利用すると便利です。
参考:心が伝わる お礼の手紙・はがきマナー&文例集(杉本 祐子 主婦の友社) 177ページ
まとめ
・忌明け後には、香典に対する「忌明けのお返し」を行う。
・忌明けのお返しの金額は「半返し」が基本。品物は「消えもの」の中から選ぶ。
・忌明けのお返しには、感謝の意味を込めて、挨拶状やお礼状を付ける。