故人が亡くなってから初七日を迎えるまで、葬儀の手はずを整えたり、方々へ連絡を取ったりなど、遺族にはしなければならないことがたくさんある一方で、してはいけないこともあります。では、どんなことがタブーとなるのでしょうか。ここでは、初七日までの過ごし方について解説します。
目次
初七日とはいつまで?
まず、初七日とはいつのことでしょうか。
読んで字のごとく、亡くなってから7日目のことです。通常は、亡くなった日を1日目と数えて7日目となります。
ただし、関西地方ではなくなった日の前日から数えることもあり、地域や宗派によっても異なる場合があります。
そして、故人が亡くなってから7日目に、初七日の法要が行われます。
ただ最近では、葬儀と時期が近いこともあって、初七日を同時に行うことも多くなっています。葬儀と同時に初七日の法要を行う場合、「繰り上げ法要」と「繰り込み法要」という2つの方法があります。
「繰り上げ法要」とは、火葬後に再び斎場に戻り、初七日の読経を行う法要のことです。
「繰り込み法要」とは、告別式を行った後、火葬の前に初七日の法要を行うことです。どちらの方法をとるかは、斎場のスケジュールなど、時間的な都合によって決まることが多いようです。
参考:【図解】身内が亡くなったときの届出と手続きのすべて 2022年版(宮田浩志 マイナビ出版) 98ページ
初七日までの祭壇はどうすればいい?
葬儀を終えて自宅に遺骨と位牌が戻ってくると祭壇に飾りますが、初七日までの祭壇は遺骨を安置するための仮の祭壇となります。
ここで設えた祭壇を「後飾り」と呼び、初七日を終えたあとも四十九日の法要まで飾るようにします。
この四十九日までの間は、故人の魂がこの世とあの世をさまよっている状態なので「中陰」と呼ぶことから、「後飾り」のことを「中陰壇」とも呼ぶこともあります。
一般的な祭壇の飾り方は、二段または三段の祭壇に骨壺、遺影、仮位牌、供物などを添えます。
供物の基本としては、「五供(ごく)」と呼ばれる「香(線香)・花・灯明・浄水(お水)・飲食(ご飯)」をお供えします。
それぞれの位置について厳密な決まりはなく、宗派や祭壇を飾る場所(部屋の広さや大きさ)などによっても違ってきます。飾り方については、たいていの場合、葬儀社の方が手配してくれるので、遺族はいくつかのプランの中から選ぶのが一般的です。
参考:配偶者が亡くなったときの手続き・葬儀・相続のすべて(PHP研究所) 66ページ
初七日までの過ごし方は? 家にいるべき?
初七日までの過ごし方は、特に決まりがあるわけではありません。ただし、初七日までは、故人のために喪に服する気持ちを持つことが大切です。
喪に服するとは「物忌み」ともいわれ、本来は故人を死を悼み、一定の期間飲食や行為を慎み、不浄を避けて心身を清浄に保つことを意味していました。
喪に服すためになるべく家にいるべきというのは、「死は穢れ(けがれ)」であるという日本で古くから伝わる「神道」の考え方から、外に出て人と会うことで、穢れを周りに広めないようにという意味もあります。
一方で、宗教や宗派によって考え方は異なり、仏教でも浄土真宗やキリスト教などにおいては「死は穢れ」という概念はないとされています。
しかしながら、初七日までの間は、常識として祭壇の前で静かに手を合わせて、静かに過ごしたいものです。
初七日までの供養の仕方
供養の仕方としては、まず、故人を偲ぶことが一番大切です。
初七日の法要のときだけでなく、故人のためになるべく供養することが望ましいでしょう。供養としては、できるだけ祭壇で手を合わせ、水と線香を供えるようにします。
線香に関しては、四十九日まで絶やさないようすべきという風習のところもあります。
線香が途絶えることを気にする場合は、長時間焚くことができる渦巻き状の線香などを用いることもあるようです。
ただし、家庭の事情などにより、線香を絶やさないことは難しい場合もあります。
線香を絶やさないという風習は、忌中の忌み籠りを行っていた時の名残りなので、絶対というものではありません。
このように線香に関しては、どのように上げるか、特に決まりはありませんが、ご飯を供えるとき、外からお参りに来られたとき、故人を偲ぶときなどには欠かさないようにするといいでしょう。
初七日までしてはいけないことは?
初七日までに限らず、忌中や喪中にしてはいけないこと、なるべく避けた方がいいことが幾つかあります。
四十九日までが忌中、一周忌までが喪中
忌中とは、故人がなくなってから四十九日までの間をいいます。
四十九日を過ぎると「忌明け」となり、忌中ではなくなりますが、次の一周忌までは「喪中」となります。
では、特に初七日までの忌中にしてはいけないこととはどんなことでしょうか。
祝い事などを避ける
忌中で避けたいことはまず「祝い事」です。
祝い事の代表としては正月がありますが、正月が喪中に訪れる場合、正月の行事は中止すべきでしょう。
具体的に言うと「年賀状」のやりとりや「新年の挨拶」「お節料理」などです。
なお、年賀状のやりとりができないを告げるために、知り合い等には、「喪中はがき」をできるだけ早めに出しておくようにします。
ただし、お年玉は祝い事用ののしなどが付いた「ポチ袋」を用いなければやりとりしても特に問題はありません。
次に避けた方がよい祝い事しては「結婚式」があります。
自分の結婚式のほか、知人に呼ばれた場合も参列を遠慮することがあります。
結婚式への断り方として忌中や喪中であることを告げるのは、相手に対して失礼なので避けましょう。「やむを得ない理由で出席できません」と伝えるか、式を終えてから喪中であったことを伝えるようにします。
その他に、忌中や喪中に避けたほうがよいのは旅行です。
旅行は自分の楽しみのために行うものなので、喪に服するという行為から外れてしまうからです。
参考:葬儀・法要・お墓・相続がわかる事典(浅野まどか 西東社) 90ページ
お中元やお歳暮は?
お中元やお歳暮は、喪中であっても問題ないという考え方があります。これらは祝い事ではなく、感謝の気持ちを伝えるものだからというものです。
ただし、四十九日までの忌中の間は、お中元やお歳暮を贈るのは控えた方がいいでしょう。
その理由としては、穢れを広めるのを避けるという意味があります。また、時期的に「香典返し」と勘違いされてしまうことも考えらます。忌中を理由にお中元やお歳暮が贈れない場合、相手が忌中であることを知っていれば問題はないはずです。
まとめ
・初七日までの過ごし方で特に大切なことは、故人のために喪に服するという気持ち。
・中陰壇の前で故人の冥福を祈るように、線香をあげて手を合わせ、静かに過ごそう。
・忌中、喪中の間は、「正月」や「結婚式」などの祝い事はなるべく避ける。