香典返しは、香典をいただいたことへの感謝の気持ちを伝えるものです。相手に喜んでもらえるよう、また、贈って失礼にならないよう、心を込めて選びましょう。
ここでは、品物を選ぶ際に気をつけたいことや香典返しのよく使われる品物などについて紹介します。
目次
香典返しを選ぶ前に知っておきたいポイント
基本は「消えてなくなる物」
香典返しの品物は、「不幸をあとに残さない」という意味を込めて、「消えてなくなる物」を選ぶことが一般的です。その代表がお茶やお菓子などの食品です。
また、洗剤やタオルなどの日用品も、「消耗品=消えてなくなる」ということで香典返しに選ばれています。
参考:この1冊でOK!一生使えるマナーと作法(明石伸子 ナツメ社) 61ページ
香典返しに避けたほうがよい物
肉や魚類は、昔から「四足生臭物」といわれて弔事にはタブーとされています。昆布や日本酒などはお祝い事に贈られることが多いため、香典返しには不向きといえます。
また、持ち帰っていただく場合は重い物やかさばる物は避けたほうがよいでしょう。
会葬お礼品と香典返しは違う品物を用意する
葬儀のときは会葬お礼品をお渡しし、同時に香典返しを贈る場合もあります。過分な香典をいただいたときは忌明け後に改めて香典返しをすることもあります。
人によっては3度品物を贈る場合もあるので、会葬お礼品をお茶にしたのなら香典の当日返しはタオルといったように、違う品物を選ぶようにしましょう。
参考:晋遊舎ムック 身内が亡くなった時の手続きがまるごとわかる本最新版(晋遊舎) 31ページ
香典返しによく使われる品物は?
食品
・コーヒー、紅茶 … 有名店や有名ブランドのコーヒーや紅茶も、香典返しによく使われる
・ジュース類 … 小さい子どもがいる家には子どもが喜ぶものを贈るのもよい
・和菓子、洋菓子 … お菓子は日持ちするものを選ぶ
・砂糖 … 「白装束で旅立つ」という意味合いから、白い物を贈る風習もある
・乾麺 … そうめんやうどんなどの乾麺
・乾物 … 焼き海苔や干ししいたけ。海苔は香典返しの定番
日用品
・ハンカチ、タオル、シーツ … 昔は「白い物」を贈っていたが、寒色系の色物や柄物でもよい
その他
・漆器 … 「不幸を塗りつぶす」という意味を含めて選ばれる
カタログギフトも喜ばれる香典返しのひとつ
香典返しの品物は、相手の好みに合っている場合は喜んでもらえますが、そうではない場合もあります。例えば、お菓子ではアレルギーがあって食べられなかったり、衣類用洗剤では香りが強いものは苦手で使えなかったりすることもあります。
そのため、最近では相手の好きなものを選んでもらえる「カタログギフト」を香典返しに選ぶ人が増えています。カタログギフトは価格別に揃えていることが多いので、いただいた香典額に応じて贈るときにも便利です。
好きなものを自由に選べるという点では、百貨店などの商品券もあります。ただし、この場合は金額が相手にわかってしまうので、弔事のマナーを大切にしている方や年配の方には避けたほうが無難といえます。
ちょっと変わった香典返し
香典返しの風習は地域によって異なることがよくありますが、一風変わった風習がある地域もあります。
例えば、中部地方には香典返しは「ビール券」を定番とする地域があるようです。また、香典返しとは違いますが、高齢の方が亡くなった場合は「天寿を全うしたお祝い」という意味で、5円玉に紅白のヒモを通したものを紅白の水引のポチ袋に入れて会葬者に配る地域もあります。
結婚や転勤などで引っ越しをした場合は、その地域の風習を確認した上で品物を選ぶことも、上手な贈り方のひとつといえます。
参考:日本のヘンな風習(知的発見!探検隊 イースト・プレス) 133ページ
まとめ
・香典返しには避けたほうがよい品物もある
・香典返しの定番には、弔事ならではのいわれがあるものが多い
・カタログギフトは、好きな物を選べるため人気がある