葬儀を終えて一息ついたのも束の間、通常は次の大きな法事として四十九日法要が行われます。また亡くなってから1年後には一周忌、2年後は三回忌へと続いていきます。施主を務める方も参列者として招かれる方も、法事に慣れていないとどのようなものを準備すればいいのか迷うかもしれません。ここでは、法事に必要な持ち物について解説します。
目次
施主の持ち物は? 男性・女性の服装は?
法事では、特に主催者である施主の役割が重要となります。法事の当日の持ち物はもちろんのこと、事前に準備しておくべきものがあります。
法要では通常、僧侶に読経をお願いしますので、そのお礼となるお布施を用意しなければなりません。
お布施に関しては、法事の当日に渡すことが多いですが、場合によっては当日ではなく前日や後日など、お寺によっても違いがありますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。なお、お布施は袱紗に包んで上着の内ポケットやセカンドバッグなどに収めておきます。
ここで、施主の持ち物をまとめてみましょう。
・遺影 ・位牌
・お供え(果物、菓子など) ・仏花 ・線香
・ハンカチ(白) ・ティッシュ(白無地)
・その他 身の回り品 ・セカンドバッグ(黒) ・ハンドバッグ(黒)など
施主の服装は、基本的に喪服です。葬儀や通夜のときと同じ喪服を着用すれば間違いありません。ただし男性の場合、法事では正喪服のモーニングではなく、準礼装である弔事用の黒いスーツを着用してもよいでしょう
女性の場合、正喪服はワンピースやスーツのブラックフォーマルが基本です。パンツスーツは準喪服と位置付けられていますが、法事では施主でも準礼装を着用するケースが多くなっています。
なお、参列者に配る引き出物や香典返しについては、どこで渡すのか事前に打ち合わせておく必要があります。法要をお寺で行うときは、あとの食事に参加できない人がいることを考えて、あらかじめお寺に預けておいてお帰りの際にお渡しするのがよいでしょう。
参考:はじめての喪主 葬儀・葬儀後マニュアル(吉川美津子 秀和システム) 124ページ
参列者の持ち物は? 男性・女性の服装は?
次に、参列者の持ち物を挙げます。
参列者の持ち物としては、香典が必要となります。なお、法事によっては、「御仏前」と呼ぶこともあります。
また、お供え物は、仏壇に供えることが前提ですので、「御供」や「御供物」の表書きのし紙を付けて、喪主への挨拶が済んでから受付などで渡すようにします。
・数珠 ・お供え物(菓子、線香、仏花など)
・ハンカチ(白) ・ティッシュ(白無地)
・その他 身の回り品 ・ハンドバッグ(黒) ・セカンドバッグ(黒)
参列者の服装も基本的に喪服を着用するのがマナーです。なお、礼服は施主よりも上のものを着用しないのがルールですので、正喪服ではなく、準礼装にします。特に法事では喪主も準礼装のことが多いので注意しましょう。
男性なら黒のフォーマルスーツ、女性の場合は黒のワンピースやスーツ(パンツも可)です。
参考:最新版新しい葬儀・法要の進め方&マナー(主婦の友社) 108ページ
子供連れで法事に参列する場合の持ち物と服装は?
幼児の場合は黒っぽい落ち着いた服や靴を用意します。学校の制服がある場合は、制服を着用します。
赤ちゃんの場合は、近しい親族以外の法事にはなるべく連れて行かない方がよいです。連れていく場合は、黒でなくてもかまいませんが、あまり派手ではない落ち着いた色の服を選びます。
また法事は時間がかかりますので、音の出ないおもちゃや、おむつなど赤ちゃん用品も必要です。
泣いてしまった時のために、出入り口付近の席がよいでしょう。
参考:はじめての喪主葬儀・葬儀後マニュアル(吉川美津子 秀和システム) 126ページ
身内や家族だけの法事の場合、持ち物はどうすればいい?
遺族や親戚だけなど、身内だけで法事を行う際でも、法事に必要な持ち物にそれ程の違いはありません。ただし、よく迷ってしまうのは、案内状に「平服でお越しください」と書かれている場合です。平服とは、普段着という意味ではありません。ラフなスタイルではなく、法事に適した地味な服装が望ましいのです。
男性でいえば、無地の黒や紺、ダークグレーのスーツ、女性の場合、柄物は避け、無地のブラウスやスカート、ストッキングは黒などを着用します。アクセサリーも葬儀と同じように、極力身に付けないか、パールのイヤリング、ネックレスなど、フォーマル系のものを選びます。
法事の際に位牌は必要?
お寺で供養していただく際は、位牌を持っていく必要があります。葬儀で使用した白木の位牌は、仮の位牌ですので、四十九日の法要の前までに、本位牌を作っておきましょう。四十九日の法要では、白木の位牌から新しい位牌へと魂入れ(性根の移し替え)を行うので、両方の位牌を持っていきます。
次に行う一周忌の法事では、本位牌を持っていくようにします。なお、浄土真宗では位牌は必要ないとされていますが、故人や先祖を供養するために、位牌を用意することもあるようです。
四十九日、一周忌、三回忌…法事の種類で持ち物に違いはある?
故人を供養するための法事では、施主、参列者ともに、持ち物にそれ程の違いはありません。ただし、本位牌に性根を移したあとは、本位牌が故人の代わりとなるので、四十九日以降の法要では、遺影を持っていくことは少ないようです。
法事は四十九日が最も大きなもので、一周忌、三回忌と回を重ねるごとに規模が小さくなっていくのが普通です。
四十九日には準礼服を着用した喪主も、三回忌あたりでは、平服に近い服装で法事に参列するケースもあります。服装等に厳密なルールがあるわけではありませんので、参列が予定されている親戚同士で、どのようなスタイルで行うか、相談して決めるとよいでしょう。
お寺での法事で必要な持ち物は?
施主や参列者の持ち物として先に挙げてありますが、もう一度おさらいしておきましょう。施主の場合、お寺で法事をお願いする際にまず必要となるのは、お布施です。
また、お供えについては、線香や供花などは、お寺で用意することもあるので、事前に問い合わせておくようにしましょう。お菓子や果物などのお供えは、購入したお店の人に法事で用いることを話して、のしを付けてもらうようにします。その他、位牌や遺影など、必要であれば持参します。
参列者は、法事に招かれた際は、香典を持参するようにしましょう。お寺での法事の場合、お供えとして線香は特に必要ありません。花やお菓子、果物などのお供えも、必須というわけではありません。お寺までの移動などを考えて、自分たちで必要と思われるものを持参すればいいでしょう。
施主、参列者に共通で必要なものとしては、数珠があります。合掌したり焼香したりする際に用いますので、忘れないようにしましょう。
実家での法事で必要な持ち物は?
実家に僧侶を招いて法事を行う場合は、お寺に出向くわけではないので、持ち物にさほど気を配る必要はないかもしれません。これは持ち物というより、お寺で法事を行う際に必要なものは、すべて準備しておく必要があります。
仏壇のほか、供花、ろうそく、りん、線香など、何が必要かわからない場合は、事前にお寺に相談しておくとよいでしょう。なお、忘れてならないのは、僧侶に来ていただく場合は、お布施に加えて「お車代」を別に包むようにするということです。これについてはお寺に問い合わせるのではなく、僧侶に出向いて頂く場合は、マナーとして包んだ方がよいでしょう。
僧侶がタクシーではなく、自分の車でいらっしゃったとしても、ガソリン代などの手間はかかるのですから「お車代」はやはり必要です。金額の目安としては、お寺から自宅までのタクシー代を調べて参考にするとよいでしょう。
まとめ
・法事の服装は、施主、参列者ともに、喪服を着ることが基本。
・施主は「お布施」を、参列者は「香典」を忘れずに。
・法事の際は、遺影や位牌など、供養に必要であれば持っていく。