香典返しには、葬儀や通夜の当日にお返しを行う「即日返し」という方法がありますが、やり方次第では、香典返しが足りないというケースも出てきます。では、どんなケースで不足が起こるのでしょうか。ここでは、香典返しが足りないケースや、足りなくなったときの対処の仕方について解説します。
目次
香典返しはそもそもいくらお返しすべき?
香典返しとして、幾らぐらいのものをお返しすればいいのかという、厳密なルールはありませんが、一般的なマナーというものは存在します。
香典返しは、よく「半返し」と言われるように、いただいた香典の半分程度の金額の品物をお返しするのが原則といわれます。例として1万円いただいた場合は、5千円程度が目安となります。
ただし、香典の金額が5千円の場合、その半分は2千500円と中途半端な金額となるため、端数を切って2千円程度とすることが多いようです。また、金額によっては半返しではかなり高額となるため、いただいた金額の3分の1から2分の1程度の間で調整することが一般的です。
参考:終活ノート付き 【図解】身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2023年版(曽根恵子 株式会社 扶桑社) 32ページ
即日返しを用意していて、高額な香典をいただいたらどうすればいい?
香典返しを贈る時期としては、一つの考え方として四十九日の忌明け後に行うというものがあります。葬儀から四十九日までの間は、忌中であることから、雑事はなるべく行わず、香典返しについては忌が明けてから行うという習慣に基づいています。また、香典の金額には、個人差があるので、それぞれに相応の香典返しを用意するにも、忌明け後の方がきちんとしたお返しができるわけです。
しかし、最近では、忙しい社会を反映してか、香典返しにも即日返しを行うケースが増えてきました。即日返しでは、いただく香典の金額をあらかじめ想定してできるだけ半返しとなるように香典返しを用意してお渡しするわけです。
即日返しは確かに合理的ですが、想定したよりも高額な香典をいただいた場合は、いただいた相手に失礼となってしまいます。その場合は、通常の香典返しと同じように、忌明け後、不足した分の金額の品物をお贈りして、きちんと半返しとなるように調整します。
参考:身内が亡くなった時の手続きハンドブック(奥田周年、山田静江 日本文芸社) 89ページ
通夜と初七日に2回香典をいただいたらどうすべき?
香典返しは、いただいた香典の金額に対して行うべきです。最近では、初七日を繰り上げて葬儀と一緒に行う方法が一般的ですが、場合によっては通夜に参列した際に香典をいただいたけれど、葬儀には参列せず、初七日の分の香典をいただいたというケースがあるかもしれません。
香典を2回いただいたときは、その2回の香典を合計して半返しするようにします。例えば、通夜に1万円、初七日に1万円いただいたのなら、合計2万円ですから、香典返しは1万円程度の品物となります。
会葬御礼は香典返しの金額に含めていい?
香典返しの即日返しと勘違いしやすいのが会葬御礼です。
そもそも会葬御礼とは、葬儀に参列していただいたいことに対してのお礼なので、会葬者全員にお配りするものです。金額的にも高価なものは少なく、会葬したことへのお礼状と清め塩、ハンカチやタオル、お茶などがワンセットになったものが主流です。これは、香典返しを即日行わない場合でも、葬儀の際には用意するのが普通です。
この会葬御礼は、会社で葬儀を行ったときにも葬儀に必要な経費として認められており、香典返しの金額に含めることはありません。香典返しを贈る際は、会葬御礼にかかった分の金額を含めないように、気を付けましょう。
参考:晋遊舎ムック 身内が亡くなった時の手続きがまるごとわかる本 2021年最新版(晋遊舎) 33ページ
葬儀当日の食事代は香典返しの金額に含めていい?
葬儀当日には、場合によって、参列者とともに食事を行うことがあります。葬儀には何かとお金がかかりますから、いただいた香典と、使った費用をあれこれと計算して、かかった食事代を香典返しの金額の中に含めてもよいのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、これも香典返しの金額に含めるのは、マナー違反です。香典返しは、あくまでもいただいた香典の金額に対してのお返しですから、その他の費用を含めて考えることは避けるべきです。
葬儀でお金がかかるのは、誰しも立場は一緒です。そのための相互扶助という考えに基づいて香典というものを持ち寄っているのです。半返しというのは金額的に多すぎると感じる方もいるかもしれませんが、そもそも香典でお金をいただくということの意味を考えれば、お礼としてお返しするのは、当然のことではないでしょうか。
参列者が香典返しが足りないことに気づいたら?
即日返しでは、参列者の数を予測して香典返しを用意しているので、参列者が予定よりも多い場合、香典返しの数が不足することがあるかもしれません。
こうした場合は、香典返しを手渡ししている主催者側ならすぐに気づくと思いますが、手渡ししている人が、きちんと対応してくれるかどうかわかりません。しかし、参列者から香典返しを受け取っていないことを、喪主の側に申し出るのはなかなか気が引けるものです。
こうした場合、たいていは葬儀を執り行っている葬儀社の担当者がいると思いますから、そうした方に、さりげなく香典返しを受け取っていない旨を伝えておくといいでしょう。葬儀社としても、参列者に失礼に当たることは避けたいはずですから、足りない分に関してはきちんと対応してくれるでしょう。
香典返しの専門通販サイトなどで相談する方法も
参列者の数が予想よりも多く、即日返しの品物が足りなくなるというトラブルは、十分に起こり得るところです。喪主の側としては、香典返しの数が足りない場合、すぐにでも対処したいところですが、緊急で足りない分を用意するのは、なかなか難しいところです。特に葬儀の日の前後、お店が休みだったとしたら、なかなか対応できないかもしれません。
そうした際は、香典返しの専門通販サイトに相談するのも一つの方法です。専門の通販サイトでは、注文後、品物を迅速に発送できます。
葬儀当日に品物が足りないことが判明した場合、お渡しできなかった方には、なるべく住所を尋ねて控えておきましょう。専門の通販サイトでは、香典返しの品物のほかに、挨拶状の作成サービスを行っているところもあります。お詫びの礼状と一緒に、参列者のご自宅へ直接お届けするように手配するとよいでしょう。
まとめ
・香典返しは半返しが原則、即日は返しでは、香典返しが不足するということも。
・香典返しは、いただいた香典の金額を基本に。食事代や会葬御礼の代金は含めないこと。
・即日返しなどで、香典返しの数が足りなくなった場合は、専門の通販サイトに相談してみよう。