身近な人が亡くなったとき、最初に迎えるお盆を「初盆」または「新盆」と呼びます。では、初盆を迎えるにあたっては、どのようなことを行うのでしょうか。ここでは、初盆・新盆の香典や香典返しのマナーについて解説します。
目次
そもそも「お盆」とは?
祖先や亡くなった人たちの霊が浄土から帰ってくる時期を「お盆」と呼びます。お盆は、日本古来の霊を祀る行事と仏教の行事が融合したものといわれています。
かつてお盆は、旧暦(太陰暦)の7月15日を中心に行われていました。現在は、太陽暦の8月15日を中心に行われることが多くなっています。
お盆は地域によって時期が異なり、例えば、2018年を例にとると、旧のお盆であれば8月13日から16日までの間であり、新のお盆であれば、7月13日から16日の間となります。
新のお盆の7月15日は東京などの一部地域のみで、全国的なお盆は旧歴の7月15日を現在の新暦にずらした8月15日が中心となって行われています。
参考:イラストでよくわかる 日本のしきたり(ミニマル、BLOCKBUSTER 彩図社) 108ページ
初盆・新盆について
初盆(はつぼん)または、新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん)とは、亡くなった人が忌明け(四十九日)の後に初めて迎えるお盆のことを指します。
例えば、8月15日の時点で、まだ忌明け(四十九日)の法要が済んでいない場合、浄土から霊が帰ってくることはできませんので、初盆には当たりません。その場合、その故人にとっては翌年が「初盆」ということになります。
ただし、前項でご説明したように、お盆の時期が異なる地域では、初盆に当たるのかどうかも、異なってきますので、注意が必要です。
参考:日本人として知っておきたい<仏教のしきたり>(松濤弘道 PHP研究所) 151ページ
初盆と香典
初盆には、遺族だけでなく、葬儀や四十九日などの他の法事と同じように、親戚や知人などを招いて、法要を行います。
初盆の法要に招かれた場合は、香典を持参します。初盆に持っていく香典の表書きは、一般的に四十九日の法要が済んでいますので、「御仏前」(御佛前)と書くようにします。
親族が参列する場合、盆提灯の購入代として不祝儀袋に「御提灯代」と表書きし、現金を手渡すこともあります。
参考:最新版新しい葬儀・法要の進め方&マナー(主婦の友社) 189ページ
初盆の引き出物(お返し)
新盆の法要では、供養を営んだあと、出席して頂いた方々に食事をふるまうようにします。
食事をふるまったあとで、新盆のお参りのお返しとして手土産を手渡します。引き出物の表書きは、一般的には「志」で、関西地方では「粗供養」とします。
また、新盆での引き出物であることを示すために、「新盆志(初盆志)」や「新盆供養」などと書いてもよいでしょう。
下段には、施主の氏名(フルネーム)、または喪主の苗字や、〇〇家と家名を記します。
初盆の香典返し、金額の相場は?
新盆で香典を頂いた際には、当日のお返しとは別に、香典返しを送るようにしましょう。
当日は幾らぐらいの香典を頂いたのかわかりませんので、あとから頂いた額に応じで追加で返礼品を送るようにするのがマナーです。
金額としては、返礼品の額を差し引いて、頂いた香典や御供物料の3分の1から半分になるように調整します。
初盆の香典返しはいつ送る?のしは?
高額の香典を頂いた方には、特に失礼がないよう、できるだけ早く香典返しを送るのがマナーといえます。
ただし、香典を受け取ったあとに用意しなければならないので、何かと準備が必要になります。香典を頂くことを想定して、ある程度、品物を選んでおくようにするといいでしょう。
初盆から遅くとも2週間までには先方に届けるように手配するようにしましょう。
品物には挨拶状を添えて、のしを掛けます。のしの表書きは、引き出物と同様に「志」「粗供養」「新盆志(初盆志)」と書きます。
初盆の香典返しの品物について
引き出物としては、いわゆる「消えもの」として、あとに残らない食べ物のほか、タオル、石鹸や洗剤などを選ぶようにします。
「お盆」ならではの季節もの、例えば「素麺」や「水ようかん」「ゼリー」などを選んでもいいでしょう。
なお、高額な香典を頂いた方には、安価な品物を大量に送るわけにもいかないので、自分で商品が選べるカタログギフトなども最適です。
法事の引き出物 おすすめの品物
・その他食品
・洗剤、せっけん
・タオルやハンカチ
・カタログギフト など
まとめ
・初盆・新盆とは、故人が四十九日を過ぎてから初めて迎える「お盆」のこと
・初盆に香典を頂いた際には、できるだけに早く香典返しを必ず送るようにしよう
・初盆の香典返しには、食べ物や洗剤などの「消えもの」が一般的