香典返しに贈る品物にもさまざまなものがあります。なかには、砂糖を頂いたことがある方や、砂糖を贈ってみようかと考えている人もいるかもしれません。では、なぜ香典返しの品物として砂糖が選ばれるのでしょうか。ここでは、香典返しの砂糖や、砂糖盛り、落雁の意味などについて解説します。
目次
香典返しに砂糖を贈ってもいいの? その意味は?
香典返しに砂糖を贈るのはどういう意味があるのでしょうか。
香典返しにふさわしい品物として、あとに残らないいわゆる「消えもの」と呼ばれるものがあります。つまり、日常に使う消耗品のことで、お茶や調味料、日持ちのよいお菓子、タオルやせっけんなどがそれにあたります。
この中で、砂糖は調味料の一つという気がしますが、他のものとは大きく異なる特徴は「白い」ということです。
一説には、砂糖の白い色は、亡くなった人が着る白装束を表しているということがいわれています。また、消えものであり、相手に不幸がおよぶのを消し去るという意味もあるようです。
参考:仏教と仏事のすべて(大久保良峻 主婦の友社) 212ページ
香典返しにはどんな砂糖がおすすめ?
ただし、砂糖単体は、品物としてはかなり味気ないものです。そこで、香典返し用に贈ることのできる「砂糖」として、工夫を凝らした商品がいくつか出回っています。
たとえば、コーヒーや紅茶に入れる「スティックシュガー」をパックしたものや、調理にも使えるグラニュー糖の小袋などがあります。
また昔ながらの上白糖を花の形の容器に詰めた法要や仏事向けのセットなどもあり、若い方からご年配の方まで、贈る相手に合わせて選ぶことができます。
葬儀の砂糖盛りとは? その意味は?
ところで、香典返しに用いられる砂糖ですが、「白」という色から、葬儀や法事でも、お供え物の一つとして広く用いられています。いわゆる「砂糖盛り」という形で、積み木のように高々と砂糖を盛ることがあります。
なぜ、砂糖を盛るのか、さまざまな説がありますが、精製された白い砂糖は、昔は高級品であったこと。また、先にも述べたように「白」は故人が用いる白装束の色であるということです。
なぜ故人の装束が「白」なのかといえば、俗世に染まらず、純粋な魂で旅立つという意味が込められているといわれます。
砂糖盛りの飾り方は?
砂糖盛りの飾り方には、いろいろな方法があります。一般的な飾り方としては、盛り台の上に丸く包んだ上白糖を山の形に5段ぐらいの高さに積み上げます。
こうしたお供えの方法は、華束(けそく)ともいわれ、地域や宗派によっては、砂糖ではなく、餅を櫛に指して花に見立てたのが始まりともいわれています。砂糖盛り用の砂糖には、こうした理由から丸餅に見立てた品物も売られています。
特に花のない季節に、花の代わりとして用いられたので、砂糖盛りの飾りつけは、花や葉の色に見立てて、白のほか、薄い緑や紫などの色を混ぜて飾ることもあります。
お供え物の落雁とは? その意味は?
砂糖盛りや「華束」では、砂糖だけでなく、落雁をお供え物として使うこともあります。
なぜ落雁を飾るようになったのか、その理由としてはその昔、砂糖は大変貴重なものであったため、純粋な砂糖の代わりに、砂糖と米粉を混ぜたお菓子である落雁を用いるようになったのではないかという説があります。
また、落雁は砂糖に比べて湿気にくく、日持ちすると同時に、さまざまな形にできるので、飾りつけにも向いています。特に仏花である蓮の花に模した落雁は、法事のお供えとしては、今や欠かせない存在となっています。
砂糖盛りや落雁はお配りしてもいい?
こうしたお供えとして飾った砂糖盛りや落雁は、他の人へ配ってもよいのでしょうか。
故人の供養としてはお供え物は無駄にせずに食べた方がよいといわれます。「お下がりをいただく」ということで、遺族でいただくことはもちろん、法要などに参列していただいた皆さんへお配りすることもあるようです。
仏様にお供えをしたあとで、お下がりを皆でいただき、それぞれの家へ持ち帰って味わってもらうことで、法要の意義をより深く知っていただく機会となるのではないでしょうか。
参考:anan(アンアン) 2019年 4月10日号 No.2146 [開運行動学。 春の開運旅 京都・奈良](anan編集部 マガジンハウス) 41ページ
法事・法要で砂糖をお返ししてもいい?
以上述べたように、香典返しや法要のお供え物として用いられる砂糖ですが、法事・法要のお返し(引き出物)としてはどうでしょうか。
法要のお返しとしても砂糖を選んで構いません。ネットショップなどでも法事のお返し用にパッケージされた砂糖が販売されています。
ただし、香典返しに砂糖を選び、法事の引き出物にも砂糖を選んでは、砂糖ばかりになってしまいますので、お茶やタオルなど、他の品物と組み合わせてみるとよいでしょう。
なお、砂糖と石鹸の組み合わせは、同じ「白」ですが、食べ物と洗剤という組み合わせは、印象が悪くタブーですので注意しましょう。
まとめ
・香典返しに砂糖を贈るのは、故人が用いる「白装束」を表すということから。
・法事で仏さまに落雁をお供えするのは、かつては高級品だった砂糖の代わりという説も。
・香典返しだけでなく、法要のお返しなど、砂糖は「消えもの」として広く選ばれている。