葬儀が済むと、遺骨や位牌はいったん自宅へと戻ります。遺骨や位牌を安置する中陰壇には、亡くなった方のために、お供えをしますが、どのように飾ればいいのでしょうか。
ここでは、四十九日までのお供え物について解説します。
中陰壇(後飾り)とは
四十九日までの間、遺骨や位牌を安置しておくための祭壇のことを、「後飾り」または「中陰壇(ちゅういんだん)」と呼びます 。
四十九日までの期間を「中陰」と呼び、故人が成仏するまでの間、中陰壇という特別の祭壇を設けて供養します。
中陰壇は、故人の冥福を祈る場であるとともに、葬式に参列できなかった人が弔問したときに、お参りしていただくための場ともなります。
中陰壇の飾り方に決まりはありませんが、3段仕立ての場合、一般的に上段、左から遺影、位牌、遺骨を飾ります。
中段には、仏飯や茶湯、お供え物、下段には左から一輪挿し、香炉、リン、燭台、線香立てを並べます。
参考:詳解空海と真言宗(福田亮成 学研パブリッシング) 189ページ
中陰壇を置く場所は?
仏壇がある場合は、仏壇の傍らか、前に中陰壇を作ります。
仏壇がない場合は、部屋の北側か西側に飾ります。 お線香をあげることや、お参りの方を案内することも考えて設置するようにしましょう。
なお、中陰壇は、たいていは、葬儀をお願いした葬儀社などのスタッフが設置してくれるので、飾り付けや設置場所については、あまり悩むことはないかと思います。
四十九日までは何をお供えすればいい?
四十九日までの間は、どのようなお供え物をするとよいのでしょうか。
一般的には、ご飯、お水、お茶、お菓子、果物、お膳、生花などが基本的なお供え物となります。
ご飯は炊きたてのものを一番最初に、毎日取り替えてお供えします。
お花は生花を用い、枯れたら取り替えるようしましょう。生花の種類については特に決まりはありませんが、バラのようにとげのある花や匂いのきつい花、曼殊沙華のように毒をもった花は避けるようにしましょう。
ご飯、お水、お茶については、あげっぱなしにせず、しばらくしてから下げます。その他の供え物も、腐らせることがないように、頃合いを見計らって家族でいただくようにしましょう。
ご飯以外のお供え物としては、故人の好きなものをお供えしてもよいのか、悩むことがあります。
宗教的な意味からは、殺生にかかわる魚や肉は避けるべきですが、故人への供養という意味では、故人の好きだったものをお供え物として選んでも特に問題はないかと思います 。
お供え物に関する注意点について
お供え物は、仏式でも宗派によって飾り方が異なります。
たとえば、浄土真宗では仏膳や茶湯は本来お供えしないといわれています。
ここでは、中陰壇のお供えの一例を紹介します。
お膳は亡き人にお供えしますので、位牌が正面になるようにお椀を並べます。料理は精進料理を供えます。肉や魚のほか、にんにくなど匂いのきついものは避けます。
基本となる一汁三菜飯は、ご飯と漬物は数に加えず、汁が一種とおかず3品(煮物、和え物、小皿)でワンセットになります。
参考:はじめての精進料理基礎から学ぶ野菜の料理(高梨尚之 東京書籍) 107ページ
四十九日までのお供えの仕方
四十九日の忌明けまでは、毎日ろうそくを灯し、線香を絶やすことなく炊いて故人を供養するのが基本です。
しかし日常生活との兼ね合いを考えると、現代ではかなり難しいかもしれません。 線香を絶やさないために、特に夜間などは、一度火をつけると10時間程度燃え続ける、渦巻き状の「巻線香」を用いてもいいでしょう。
忌明け後は仏壇を使用する
忌明け後は中陰壇は用いず、仏壇を使用します。
中陰壇は仮の祭壇なので、一輪挿しや香炉、燭台などは割って、ごみとして処分します。 ごみとして処分するのは気分がよくないという人は、葬儀社に返却、または引き取ってもらうとよいでしょう。
参考:夫が死ぬ前に妻が知っておく67のこと(伊藤綾子 かんき出版)
まとめ
・お供え物は、ご飯、お水、お茶、お菓子、お膳、果物、生花などが基本。
・四十九日までの祭壇を「中陰壇」または「後飾り」という。
・中陰壇には、ご飯やお水などをお供えし、毎日取り替える。
・中陰壇は仮の祭壇なので、忌明け後は不要。