葬儀や法要に招かれたとき、必要となるのが香典です。一人ならともかく、夫婦などで参列する場合、香典を一つにまとめて出してもよいのか、悩むことがあります。ここでは香典を連名で出す場合の金額の相場や表書き、マナーなどについて解説します。
目次
そもそも、香典は連名で出してもよいのか?
まず、香典は個人が個別で出すのが基本といえます。
ただし、事情があって葬儀に参列することができず、家族や夫婦など、何名かいるうちの代表者のみが葬儀に参列する場合には、香典袋を一つにして連名で出しても問題はないといえるでしょう。
ただし、連名で記した参列者がすべて出席できるのなら、個別に香典袋を用意した方がマナーにかなっています。
香典が個別であれば、香典返しの際も喪主に負担をかけずに済みます。
参考:遺体と火葬のほんとうの話(佐藤信顕 二見書房) 27ページ
香典を連名で出すときの金額について
連名にした場合、香典の金額を減らせると考えるのは、間違いです。
香典とは、互いに助け合うという意味でお渡しするということを忘れてはなりません。
本来であれば、1人当たり5千円包むべきところを、3人以上の連名で1万円を包んだとしたら、喪主は香典返しを渡すために返って負担をかけてしまうことになります。
連名で包む場合でも、個別の金額は減らすべきではありません。個人で出す相場の金額をそれぞれ出して、包むようにしたいものです。
家族が連名で出すときの表書きについて
では、家族が連名で香典を出す場合、表書きはどのようにすべきでしょうか。
夫婦で連名にする場合は、上の写真の例のように、代表者である夫の姓名を中央に書き、その左横に妻の名前を書き添えます。
結婚したばかりで新しい姓に馴染みがない場合でも、新姓で書くのが普通です。
ただし、旧姓でないと相手に伝わらないという場合は、表書きに新姓を書き、中袋の姓名の横に「旧姓〇〇」と添えて書くようにするといいでしょう。
参考:気持ちがしっかり伝わる手紙の書き方と贈り物のマナー(矢部惠子 マイナビ) 12ページ
家族の子どもはどうするか?
4人家族で連名の場合の香典袋の記載例
子どもにきちんとした収入があり、お金を出せる場合は、連名で包んでも構いません。
その際は、代表者の左側に、名前だけを書き添えます。
例として夫、妻、長男、長女の4人家族で連名にする場合は、中央に夫の姓名、その左横に妻の名前、長男の名前、長女の名前という順に書き添えます。
ただし、子どもが小さかったり、未成年で収入がないなど、お金が出せない場合、連名で書く必要はありません。
お金を出していないのに名前が書いてあると、喪主が知らずにその分の香典返しを用意した場合、やはり喪主に迷惑が掛かってしまいます。
もし家族一同ということで連名で書きたい場合は、未成年や子どもであることを「小学〇年生〇〇」と書き添えておくと親切です。
連名で香典を出す場合の書き方
連名の香典袋の記載例
会社や職場、同僚などの複数名で、連名で香典を出す場合の表書きは上記のように名前を並べて書きます。
一番右に年長者の名前を書き、左に向かって順に年下の人の名前を書きます。
連名の人が同列の場合は、左から右に向かってあいうえお順で書くとよいでしょう。
3~4名以上になる場合は、代表者の名前とその左に「外一同」や「他一同」のように書き、別紙に全員の名前を書いて香典袋の中に入れておく方法もあります。
参考:50代からの冠婚葬祭きちんとマナー(主婦の友社) 11ページ
香典を連名で受け取ったときの「香典返し」は?
香典返しは、連名で書かれた人数の分だけお返しするのが基本的なマナーです。
包んだ金額が1万円で連名が3名であれば、書かれている人数分で割った香典返しをすることになります。
具体的には、1人あたり3300円程ですから、半返しとして1人当たり1500円程度です。
1人当たり5千円の香典を想定して2千円程度の香典返しを準備していたとすると、喪主側としての負担は増えますが、参列していなくても連名で頂いた人の分だけ、きちんとお返しをするように心掛けましょう。
やはり、香典を頂いたことに対する感謝の気持ちの方が大切です。
ただし、上記に示した通り、連名の中に明らかにお金を入れていない子どもが入っている場合は、香典返しの人数から省いても構いません。
家族での連名の場合は、頂いた総額の半返しとなるような品物を、代表者宛に一つだけ贈ればいいでしょう。
その際は、連名の人数分に小分けできるような品物を選ぶようにしましょう。
まとめ
・代表者のみが参列する場合は、香典は連名でも構わない。
・原則として、年長者の名前を一番右に書き、左側に向かって連名の名前を書く。
・香典返しは、連名の人数分だけお返しをするのが基本的なマナー。