一周忌の法事に招かれた際、香典やお供えはどのように持参すればよいのでしょうか。ここでは、一周忌の香典やお供えに付ける「のし(熨斗)」の表書きや返礼品の表書きなどについて解説します。
目次
一周忌法要では何を行う?
故人が亡くなってから満1年目に行われる法要が一周忌です。一周忌法要には、親族のほか知人や友人を招いて行うのが一般的です。一周忌には、僧侶による読経や焼香のほか、お斎(とき)と呼ばれる食事が振る舞われることもあります。
参考:知らないと恥をかく冠婚葬祭のマナー常識(幸運社 PHP研究所) 73ページ
一周忌の香典の金額
一周忌法要に招かたれときは、香典やお供え物を持参します。
一周忌の香典の額は、地域によって異なりますが、基本的に血縁であれば1万円程度で、関係が近いほど多く包みます。
知人や友人であれば5千円程度が目安となり、やはり故人との関係によって調整します。
また、法要の後に食事が振る舞われるかどうかによって、食事代に相当する分を上乗せして、それぞれ1.5~2倍くらいで切りのよい金額を目安にするとよいでしょう。
あるいは、食事代に相当する分として、香典に加えてお供物をお贈りする方法もあります。
一周忌の香典の目安
故人との関係 | 会食なし | 会食あり |
祖父母 | 1万円~ | 1~3万円 |
親 | 1万円~ | 1~5万円 |
兄弟姉妹 | 1万円~ | 1~3万円 |
親戚 | 5千円~ | 1~3万円 |
職場関係・知人・友人 | 5千円~ | 1万円 |
参考:葬儀・法要のあいさつ実例集(河野成美 西東社) 203ページ
故人の孫にあたる場合の香典は?
故人の孫にあたる場合、孫の年齢や社会人かどうかによって変わってきます。
孫が社会人であれば、上記の祖父母の金額が目安となりますが、未成年でまだ働いていない場合は、香典は不要とされています。
香典の額を決める際の注意点
香典の合計金額に、4や9の数字が入らないようにしましょう。
また、金額が中途半端にならないようにキリのいい数字でまとめるのが重要なマナーです。
一周忌の香典袋の書き方について
一周忌の香典には、黒白や双銀の結び切りの不祝儀袋を用います。
表書きはのし上に「御佛前」「御仏前」などと記します。
のし下に本人の氏名をフルネームで記入するのが一般的です。
市販の香典袋にはあらかじめ表書きが印刷されたものもありますが、「御霊前」は使わないように注意しましょう。「御霊前」は葬儀やお通夜の時に用いるもので、一周忌では、故人すでに「仏様」になっていると考えられているためです。
墨の色は、葬儀の際は薄墨を使うのがマナーですが、一周忌の場合は濃い墨でも問題ありません。
一周忌の香典の渡し方・渡すタイミングは?
香典を持って行く時は、袱紗(ふくさ)に包んで持って行きます。
袱紗の色は、紺や紫、グレーのものがよいでしょう。袱紗を持っていない時は、代用としてグレーのハンカチで包むことも可能です。
相手に渡す時は、袋の向きを表にして手渡します。施主に一言伝えて渡すのがマナーとなります。
香典を渡す際には、「どうぞ御仏前にお供えください」と言って渡します。
参考:葬儀・法要・相続 マナーと手続きのすべて(主婦の友社) 34ページ
一周忌の「のし(熨斗)紙」について
一周忌で用意する「お供え」や「返礼品」には、のし紙を付けます。
のし(熨斗)とは本来は、慶事のときに付ける「のしあわび」のことなので、弔事の不祝儀袋やのし紙に「のし」は付いていません。
また、お供えや返礼品の「のし紙」も正しくは「掛け紙」と呼びます。しかし、現在では弔事に用いる掛け紙も、すでに一般的には「のし」や「のし紙」と呼ばれていますので、間違いとはいえないでしょう。
一周忌のお供え物の「のし」の表書き、書き方について
一周忌のお供え物には、黒白や双銀、または黄白の結び切りの「のし紙」を付けます。
黄白の水引は、四十九日以降の法要に、主に関西を中心に用いられます。関東では、一周忌までは黒白の水引を用いるところもあり、地域によって異なる場合があるので注意が必要です。
のし紙の表書きの上部には、「御供」と書きます。
下部には、名前を書きます。名前は、フルネームか、苗字、下の名前などを関係性に応じて贈り先の方がわかりやすい表記を選ぶとよいでしょう。
また、のしの掛け方には、包装紙をかける前にお供えの箱に直接のし紙をかける「内のし」と、包装紙で包んでから箱の外側にのし紙をかける「外のし」の2つがあります。
法事に参列し、お供えを直接手渡す場合は「外のし」、法事には出席せず、郵送など送る場合は「内のし」にすることが多いようです。
一周忌の返礼品の相場について
法事に参列してくれた方へ感謝の気持ちを込めて渡す「引き出物」や「返礼品・お返し」は、香典やお供えをいただくことを想定して、お香典の半分から3分の1程度、だいたい2千円から5千円ぐらいの品物を用意しておくとよいでしょう。
また当日、多額の香典をいただいた場合には、後日半返しとなるよう宅配や郵送などで、返礼品を送るようにしましょう。
一周忌のお返しの「のし」について
一周忌法要の引き出物やお返しの品物にも、「のし紙」を付けてお渡しします。
一周忌の引き出物には、お供えののしと同様に、黒白や双銀、黄白の結び切りを用います。表書きは「志」や「粗供養」(主に西日本)とします。
一周忌の法事へのお礼という意味で「一周忌」や「一周忌志」と書いてもいいでしょう。のし下には喪主や施主の苗字のみ記載し、例えば「山田家」または「山田」とのみ書きます。
まとめ
・一周忌の香典袋の表書きは「御霊前」は使わず「御仏前」と記す
・一周忌の水切りは黒白または双銀、黄白で、地域によって異なる
・一周忌のお供えものののし上には「御供」と記す
・香典袋や「お供え」ののしの名前はフルネームを記載し、「お返し」は苗字のみ記載するのが一般的