法事のお供え物には、お線香やお花、ろうそくなどがありますが、お供え物として欠かせないものに飲食物があります。中でも「お菓子」は皆で分け合うものとしても、喜ばれるものの一つです。ここでは、お供え物や法事のお返し(引き出物)として出される「お菓子」について選び方やのしの書き方などについて解説します。
目次
お供え物(供物)の「お菓子」について
法事の際、仏壇の前には「御供物(おくもつ)」をお供えします。お供え物としては、飲食物として「仏飯」「お餅」「お菓子」「果物」などを用意します。一般的に「仏飯」や「お餅」などは遺族が用意しますが、「お菓子」や「果物」などは、故人への捧げものとして、法事の参列者が持参する場合も多くあります。
お供え物に最適な「お菓子」とは?
お供え物のお菓子は、仏壇に飾るとき、「高坏(たかつき)」や「段盛り」という道具に乗せてお供えするのが正式です。高坏はそれほど大きくないので、飾るには、落雁(らくがん)などの小さめのお菓子が適しています。
お供え物に用いるお菓子は、生ものに近いものは避けて、干菓子や焼き菓子など、日持ちがするものを選ぶのが基本です。高坏で仏壇にお供えする場合は、華美な色合いは避け、やはり洋菓子よりも、饅頭や羊羹、落雁、煎餅などの和菓子がいいでしょう。
段盛りでお供えする場合、法事の後で参列者や親族で分け合うこともありますので、きちんと包装されて日持ちするものであれば、缶入りのゼリーや水ようかんなどのお菓子でもよいでしょう。
参列者からのお供え物は配りやすいお菓子がおすすめ
参列者が持参するお供え物は、高坏に飾るような正式なお菓子ではなく、法事の後で皆で分け合ったりする場合もあるので、小分けができるように、個別に包んであるお菓子がよいでしょう。
お供え物の「のし」の書き方
お供え物ののしには、「御供」や「御供物」と記します。下段に差出人の名前をフルネームで書きます。 お供え物ののしは、弔事用ということを購入するお店の人に申し出れば、たいていは用意してくれます。
参考:冠婚葬祭マナーの新常識withコロナ時代に対応!(岩下宣子 主婦の友社) 207ページ
お供え物のお菓子の渡し方
法事に招かれて最初にご挨拶をする際に「本日はお招きいただきありがとうございます。どうぞご仏前にお供えください」と一言添えてお渡しするとよいでしょう。またご仏前にお供えする場合は、必ず遺族の了承をもらってから行うようにします。
お供え用のお菓子を持っていくときは、一般の紙袋ではなく弔事用の紙袋を用意するようにします。弔事用の風呂敷に包んで持っていくとより丁寧でしょう。
法事へのお供え物について詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
法事の引き出物としての「お菓子」
仏教では、初七日や四十九日、一周忌・三回忌などの法要・法事の際に、参列者の方々への引き出物としてお菓子を用意することが多くあります。こうしたお菓子は「引き菓子」とも呼ばれ、参列者が法事から帰った後、故人を偲びながら一息つきながら口にして頂いてほしいという、施主や喪主からの願いが込められています。
引き菓子について、以下の記事もご参照ください。
法事の引き出物のお菓子の選び方
和菓子でも洋菓子でもよく、食べやすく万人に好まれるものを選ぶとよいでしょう。 日持ちの良さについては、お供え物と異なり、それほど優先する必要はありません。お贈りするお相手の家族の人数などをもとに、お菓子の分量や日持ちの目安を考えるとよいでしょう。
お菓子の選び方について、以下の記事もご参照ください
法事の引き出物の「のし」の書き方
表書きには「志」または「粗供養」と記します。「志」は主に東日本、「粗供養」は主に西日本で使われています。下段には喪主または施主の苗字、または○○家と書きます。のしの水引は、黒白や藍銀、双銀、黄白の結び切りを用います。三回忌以降は地域によっては黄白の結び切りを用います。
なお、のし(掛け紙)の掛け方や表書きについては、宗派や地域によって異なることもあるので、それぞれ事前に確認しておくようにしましょう。
参考:葬儀・法要・お墓・相続がわかる事典(浅野まどか 西東社) 145ページ
まとめ
・お供え物のお菓子は、なるべく日持ちのするものを選ぶ
・お供え物ののしには「御供」や「御供物」と書く
・法事の引き出物のお菓子は小分けができて、多くの人に喜ばれるものを
・引き出物ののしは「志」や「粗供養」と書く