故人が亡くなると、仏教(仏式)では、葬儀のほかにも数々の法事(法要)を行います。法事にはどのような種類があり、どのような流れで行われるのでしょうか。ここでは、法事の種類や、行う場所、流れ(時間やスケジュール)などについて解説します。
目次
法事の種類にはどんなものがある?
法事とはどのような行事を指すのでしょうか。法事とよく似た言葉に法要があります。法事と法要はあまり区別せずに使われたりもしますが、一般的に、法要とは、僧侶による読経や焼香などの儀式を指し、法事とは、法要のほかに参列者が集まって会食を行うなど、法要に伴う行事の全体を指しています。
法事は、人が亡くなってから行う幾つかの主な法要に伴って、行われます。特に重要となる最初の法要としては、初七日、七七日(四十九日)があります。四十九日は満中陰とも呼ばれ、この日をもって忌明けを迎えます。その後の法要は年忌法要といい、満一年目に一周忌、満二年目に三回忌など、故人の命日に一年ごとに行われます。
また、仏式の行事のことを法事と呼びますが、神道やキリスト教においても、法事に当たる儀式が行われています。
参考:最新カラー版お墓と仏壇選び方・建て方・祀り方(主婦の友社) 104ページ
法事の場所はどのように決めればいい?
一般的な法事では、僧侶にお願いして、読経と焼香を行います。そのため、法事を行う場所としては、僧侶がいらっしゃるお寺や、僧侶を招くことができる自宅や斎場などを利用します。すでに先祖代々のお墓があったり、菩提寺が決まっている場合は、菩提寺の僧侶にお願いするのが一般的です。菩提寺がない場合は、葬儀でお世話になった僧侶や葬儀社に相談してみましょう。
自宅で行う場合は、僧侶に自宅まで来ていただく必要がありますので、僧侶のご都合などを尋ねるなど、事前に打ち合わせておくようにしましょう。
法事はどのくらいの時間が目安?
法事の時間は、法要の時間と、そのあとの会食をどのように行うかで決まります。
例えば、お寺に参列者が集まり、法要を行った後、会食のためにレストランなどに移動し、さらに会食する時間などを考えると、最低でも2-3時間はかかります。自宅に僧侶を招き、法要のあと自宅で会食を行う場合は、ある程度時間的に余裕がありそうですが、事前の準備や後片付けなども含めて半日程度はかかります。
また、四十九日の法要などで、納骨を行う場合、墓地での作業なども入るのでその分の時間も考えておく必要があります。当日は、他の用事は入れないようにし、丸一日、法事のために時間を空けておいた方がいいでしょう。
自宅で行う場合の流れ
自宅で法事を行う場合は、十分なスペースがあることが前提です。祭壇の飾りつけなども、自分たちで行うのか、葬儀社にお願いするのか、考える必要があります。
僧侶が到着する時間までに、参列者がすべて集まるように、開始時間を決めます。僧侶が到着したら、祭壇の前に案内します。僧侶の読経で法要が始まります。僧侶が読経を上げたあと、故人に近い遺族から親類、知人の順で焼香を行います。
僧侶の読経が終わった後、場合によっては僧侶の法話があります。僧侶が退席されるときに「お布施」と「車代」を渡します。会食を自宅で行う場合、僧侶が同席するかどうか、事前に確認しておくようにしましょう。会食を辞退されたときは、お布施のほか、「御膳料」をお渡しします。
会食は自宅で行うのであれば、仕出し弁当や飲み物などを人数分用意しておく必要があります。もちろん、遺族や親戚が自ら手料理を振る舞っても構いません。会食の後、頃合いを見て締めの挨拶を行い、参列者へ引き出物を渡して終了します。
斎場で行う場合の流れ
斎場で法事を行う場合、一般的には斎場が準備したスケジュールで行います。流れとしては自宅や寺院で行う場合とほぼ一緒です。
まず、僧侶の読経や焼香があり、法要を終えた後、会食を行います。斎場のメリットは、会食できる場所が併設されているところが多く、移動の手間がないことです。また、自宅ではさまざまな準備や後片付けなどが必要ですが、斎場ではすべてスタッフが行ってくれるので、手間がかかりません。また、多くの親族や知人を招く場合でも、即座に対応できます。
デメリットとしては、自宅やお寺で行う法事よりも、比較的費用が高いということが挙げられます。
寺院で行う場合の流れ
お寺で法事を行う場合、お寺の方法に従うようにします。本堂などを使わせて頂く場合は、お寺の指示で飾りつけを行います。
寺院で行う場合も、自宅で行う場合と手順は一緒です。僧侶が入場し、読経のあと、焼香を行います。僧侶のお寺で行うのであれば、僧侶にお渡しするのは、お布施だけで「車代」は必要ありません。ただし、法要のあとに会食を行う場合、僧侶が同席されないときは「御膳料」をお渡しするようにしましょう。
寺院で法要を行ったあとは、場所を移してレストランや料亭で会食を行うのが一般的です。会食を行うレストランなどには「何時ぐらいに法事でどれぐらいの人数が集まる」など、事前に予約を取っておきましょう。一人当たりの料理の予算(飲み物等も含めて)もあらかじめ伝えておきます。
参考:オールカラー 困ったときにすぐひけるマナー大事典(現代マナー作法の会 西東社) 201ページ
法事の挨拶の例
法事では、主に施主が挨拶を行います。法事の始まりには、開始を告げる挨拶を行うようにします。
法事は、僧侶の読経で始まりますので、僧侶が入場されたときに、参列者に向かって挨拶します。長く述べる必要はありません。簡単でもよいので、感謝の気持ちを込めて挨拶することが重要です。僧侶への呼びかけは、「ご住職」「和尚様」などがありますが、宗派によって異なりますので、お寺の方に事前に確かめておきましょう。
会食がなく、法要のみで終了する場合は、締めの挨拶を行います。また、続いて会食がある場合は、会食についての案内を行います。
このあとは、ささやかではございますが、お食事の席をご用意しましたので、時間の許す限り、ゆっくりおくつろぎください。
参考:さすが!と言われる心に響く名スピーチのコツ&実例集(生島ヒロシ 株式会社日本文芸社) 198ページ
まとめ
・法事の主な流れは、僧侶の読経と、参列者の焼香で、故人を供養し、会食を通して故人を偲ぶ。
・法事を行う場所としては、自宅、寺院、斎場などがある。
・施主は、法事の開始と終了を告げる挨拶を。簡単でもよいので、参列者への感謝の気持ちを込めて行おう。