三回忌は、一周忌とともに年忌法要の中でも比較的大きな規模で行われますので、招かれた人は、「お供え」を持参します。これらのお供えに対して施主は「お返し」を用意します。ここでは、三回忌のお返しの金額の相場や、お礼状などについて、解説します。
目次
三回忌のお返しとは?
三回忌のお返しは、法事におけるいわゆる「引き出物」という形で贈ります。
香典に対しては「香典返し」となりますが、三回忌の法要では、参列者から「お供え」をいただくので、それらのお供えに対してのお返しということになります。
三回忌の法要を遺族だけでなく、親類や知人などを呼び法事のあとに会食などを行うなど、大きな規模で行う場合、呼ばれた側はお供えとして、「御仏前(香典)」や「御供」を贈ります。
これに対して、施主は「引き出物」を用意して法事の当日、あるいは後日に、法要に足を運んでいただいたことへの感謝の気持ちを込めて、参列者に贈ります。
三回忌のお返しの金額の相場
三回忌のお返しにおいても、葬儀や四十九日、一周忌などの法要と考え方は一緒です。
「香典返し」と同じように、お返しは、いただいた金額の3分の1から半分程度が目安です。三回忌でいただく現金の「お供え」は、1万円前後が相場となりますので、お返しは3千円から5千円程度となります。
法要の当日にお返しを用意する場合、会食を振る舞った場合は、その費用を差し引いて、だいたい2千円から5千円程度のお返しを用意するとよいでしょう。
ただし、当日、どれぐらいのお供えをいただくかわからないので、当日は持ち帰りに邪魔にならない程度のお返しを用意して、それぞれのいただいた金額に応じて、後日改めてお返しとしてお贈りした方が、より丁寧といえます。
参考:葬儀・法要・お墓・相続がわかる事典(浅野まどか 西東社) 145ページ
三回忌のお返しの「のし」の書き方
三回忌のお返しに使う「のし」は、葬儀や四十九日のお返しに用いる黒白ではなく、青白や黄白の水引を用いることが多いようです。
特に黄白は、関西より南の地域で用いられることが多く、関東でも三回忌以降に用いられるようです。ただし、地域によって異なり、三回忌でも黒白の水引の方がよいという場合もあります。
のしの表書きは、「志」や「粗供養」などと書きます。表書きに関しても地域や宗派によって異なることがありますので、わからないときは、親戚や周囲の人に尋ねてみるようにしましょう。
表書きの下には、施主の家名を苗字だけ、または「●●家」と書くようにします。墨の色は、基本的に四十九日までの薄墨ではなく、黒の濃い墨を使います。
三回忌のお返しには「志」や「粗供養」
水引の色や表書きは地域により異なるので周囲に確認
三回忌のお返しにおすすめのお菓子
お返しの品物の基本は、いわゆる「消えもの」と呼ばれる、使ってなくなるものがよいでしょう。消えものとしてよく選ばれているのは、お茶やのり、お菓子などがあります。
特にお茶やお菓子は、改めて故人を偲びながら召し上がっていただきたいという、施主側からの気持ちも込められているので、法要のお返しとして、やはり最適なものの一つといえるでしょう。
お菓子を選ぶ際は、生に近いものは避け、ある程度日持ちするものがよいでしょう。お勧めのお菓子としては、焼き菓子が最適です。和菓子であれば、まんじゅうや最中、洋菓子なら、クッキーやバターサンドなど、みんなで分けられるように、一つずつ包装されて詰め合わせとなっているものがおすすめです。
参考:これで安心!葬儀とお墓の疑問解決ブック(ゆうゆう編集部 主婦の友社) 84ページ
三回忌のお返しに商品券は大丈夫?
香典返しや三回忌の「お返し」として商品券やギフト券を贈ることも、最近では増えているようです。当日返しをする場合、荷物にならず、現金と同じように扱えるので便利ということはいえるかと思います。
その一方で、商品券やギフト券は贈られた金額がはっきりとわかってしまうことで、相手によっては失礼と感じてしまう人もいるようです。
また、現金を贈ったことに現金を贈り返すのはマナー違反であり、商品券やギフト券は、現金と同じ扱いとされていることから、特に年配の方にお返しする際は、気を付けるようにしましょう。
一方、カタログギフトは、商品券とは異なり、直接的に贈った金額がわからず、相手の好きなものをカタログの中から選んでもらえます。商品券やギフト券が心配な場合の「お返し」に最適といえるでしょう。
三回忌のお返しの礼状・挨拶状の例文
三回忌のお返しのお礼状は、できれば手書きがよいのですが、参列者が多い場合には難しいでしょう。
そうした事情は参列者もくみ取っていますので、印刷でもマナー違反ではありません。
特にお世話になった人や、たくさんのお供えをいただいて、特別にお礼したいという場合は、手書きで出すようにすれば、相手にもより感謝の気持ちが伝わるのではないでしょうか。
手書きで書く場合も句読点は省くようにします。使い慣れない言葉遣いはなるべく避けて、自分の言葉を交えた方が相手にもより感謝の気持ちが伝わるでしょう。
参考:すぐ役立つお礼・祝いの手紙マナー&文例集(現代レター研究会 法研) 220ページ
挨拶文の例
この度は 亡母 ●●儀 三回忌に際しまして ご厚志を賜り
誠にありがとうございました
●月●日に法要を無事済ませることができました
ささやかながら 御礼のしるしとして心ばかりの品をお贈りさせていただきます
略儀ながら 書中をもちましてご挨拶申し上げます
まとめ
・三回忌のお返しの金額の相場は、いただいた金額の3分の1から半分程度が目安。
・三回忌の「のし」は、藍銀か黄白の水引で「志」または「粗供養」と書くのが基本。
・「商品券」や「ギフト券」は、場合によっては好ましくないので注意。