一周忌法要は、故人の冥福を祈り供養する大事な年忌法要のひとつです。ほとんどの場合、葬儀のときの施主(喪主)が中心となって営みます。
ここでは、一周忌法要のおおまかな流れと施主の挨拶の仕方などについて解説します。
目次
一周忌とは?
亡くなった1年後に営まれる最初の年忌法要
仏教では毎年、故人が亡くなった日である祥月命日に法要を営むしきたりがあります。これを「年忌法要」といい、「一周忌法要」は亡くなった1年後に営まれる最初の年忌法要になります。
一周忌が終わると「喪明け」となり、遺族は喪に服する時期を終え、通常の生活を送ることになります。
年忌法要は簡素化される傾向にありますが、一周忌法要は喪明けというひとつの節目でもあるため、親族や故人と親交の深かった方を招いて営まれることが多いようです。
参考:身近な人の死後の手続き相続のプロが教える最善の進め方Q&A大全(佐藤省吾 文響社) 58ページ
一周忌法要の流れ
一周忌法要は一般的に、自宅やお寺で営む場合がほとんどです。人数が多い場合はホテルやセレモニー会館を利用することもあります。法要の流れ(手順)に特に決まり事はありませんが、おおむね、
「施主の一周忌の挨拶」→「僧侶の読経」→「焼香」→「僧侶による法話」→「施主のお礼の挨拶」と続きます。
法要のあとは「お斎(おとき)」といわれる会食の場を設けますが、会食のあとも施主が挨拶をするケースが一般的です。
会食をしない場合は法要後の挨拶でその旨を伝え、引出物と一緒に折詰弁当とお酒をお渡しします。
参考:冠婚葬祭マナー大事典(学研パブリッシング) 414ページ
施主(喪主)から参列者への挨拶の例
法要の流れで紹介したように、一周忌法要では施主が参列者に挨拶する場面がたくさんありますので、前もって準備しておきましょう。
ダラダラと長く話す必要はありませんが、「法要に参列いただいたお礼」と「今後の支援の依頼」は内容に含むようにします。故人のことに触れる言葉も盛り込みましょう。ここでは、それぞれの場面の挨拶の一例を紹介します。
一周忌の挨拶
法要の開始を告げる挨拶です。ここではごく簡単に挨拶します。
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。これより○○○の一周忌法要を始めさせていただきます。(僧侶の方を向いて)本日は△△寺の住職△△さまにお願いいたしております。それではよろしくお願いいたします」
※○○○は正式には戒名を告げますが、ごく内輪の法要の場合は故人の姓名でもよいでしょう。
法要後のお礼と会食前の挨拶
法要に参列いただいたことへお礼を述べます。「お斎」を用意しているときはその旨を告げます。
「おかげさまで○○○の一周忌法要を無事終えることができ、故人も安心していることと思います。また、生前親しくさせていただいた方にお集まりいただき、故人に代わって厚く御礼申し上げます。皆様にはこれからも変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。簡単ではございますがお膳を用意させていただきました。○○○の思い出話をしながら召し上がっていただければ、何よりの供養になると思います。お時間の許す限り、どうぞごゆっくりおくつろぎください。本日はまことにありがとうございました」
参考:最新版新しい葬儀・法要の進め方&マナー(主婦の友社) 181ページ
会食終了時の締めの挨拶
会食が一段落したら、参列いただいたことへのお礼を述べ、終わりの挨拶をします。
「本日はお忙しい中、最後までお付き合いいただきありがとうございました。なごりはつきませんが、そろそろお時間となりましたので、お開きにさせていただきたいと存じます。○○○がいなくなり寂しく思いますが、残された家族一同、力を合わせてがんばっていきたいと思っております。どうかこれからも変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。なお、ささやかではございますが、お礼の品をご用意いたしました。お荷物になって恐縮ですが、お帰りのときはお忘れなくお持ち帰りくださいませ。本日はまことにありがとうございました」
会食なしの場合の挨拶
会食をしない場合は、かわりに仕出し弁当をお持ち帰りいただくケースが多いです。
法要後の挨拶の際に、返礼品と折詰をお渡しする旨をお伝えするようにしましょう。
「本日は、○○○の一周忌法要にご参列を賜り、ありがとうございました。 皆様のおかげでこのように無事に法要を終えられ、深く感謝申し上げます。皆様にはこれからも変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。本来ならば、皆様とともに粗宴を囲みたいところではございますが、遠方よりお越しいただいている方もいらっしゃるため、これにてお開きにしたいと思います。なお、返礼品と折詰をご用意しております。お忘れなきようお持ち帰りくださいませ。この度はありがとうございました。」
身内だけの場合も簡単に挨拶を
親戚や身内だけで法要をおこなう場合も、堅苦しい表現でなくてよいので法要、会食の進行・仕切りのために挨拶をします。
先述の挨拶例をベースに儀式の進行と参列していただいたことへの感謝の気持ちが伝わるような挨拶にします。
お供えや御供物料へのお礼として引出物を用意する
一周忌法要の引出物の金額の目安
一周忌法要では多くの場合、葬儀での香典にあたる御供物料やお供え物などをいただきます。そのお礼の意味も含めて引出物を用意し、感謝の気持ちを伝えましょう。
金額の目安として、法要後の会食費用と引出物を合わせて御供物料の7~8割程度になるようなものを用意することが多いようです。香典返しは香典の額によって品物が変わることもありますが、一周忌の引出物は同じものを用意する場合がほとんどで、金額は3000円から5000円前後が相場といわれています。
品物は香典返しや四十九日法要の引出物と重複しないように
一周忌法要も弔事ですから、引出物は香典返しや四十九日法要の引出物と同様に食品や消耗品などのいわゆる「消えもの」やタオルなどの布製品を中心に選ぶと無難です。
持って帰っていただくことを考えて、重いものやかさばるものは避け、香典返しや四十九日法要の引出物と重複しない品物を選ぶようにしましょう。また、品物を自由に選んでもらうカタログギフトでも問題ありません。
表書きは「志」または「粗供養」と書き、黒白や双銀の結び切りの水引を用います。書き方は四十九日法要の引出物と同じで、濃い墨で水引の結び目の上に「志」または「粗供養」と書き、結び目の下に施主の苗字や姓名を書きます。
まとめ
・一周忌法要は喪明けという節目でもあり、年忌法要の中でも営まれることが多い
・施主は法要とその後の会食のときに挨拶をするのがマナー
・一周忌でもいただき物や参列へのお礼を込めて、引出物を贈る