葬儀に欠かせないのが喪主(もしゅ)です。喪主は遺族の代表として葬儀の全体を取り仕切り、進行させていく役目があります。喪主は誰が務めるのか、具体的にどんなことを行い、進めていくのでしょうか。
ここでは喪主について解説します。
目次
喪主とは? 喪主の役割
喪主は、遺族の代表として、葬儀を主催します。
喪主は、どのように葬儀を行うのか、決めなければなりません。
葬儀の予算はどれぐらい用意できるのか、規模はどれぐらいにするのか、葬儀には何人ぐらいの人を呼ぶのかなどを考える必要があります。
そして、どの葬儀社に依頼するのか、葬儀のプランは葬儀社からいくつか提案がありますので、どのプランでいくかなどを決めていきます。
また、喪主は葬儀全体の取り仕切りを行います。葬儀社への連絡や式の手配、お寺の連絡やお布施の手配、さらに、通夜や葬式で喪主としての挨拶を行います。
式に関する細かい運営は葬儀社が行ってくれますが、参列者や親戚など、集まっていただいた方々への対応のほか、香典などのお金の管理、さらに葬儀が終わったあとの最終的な片付けまで、主催者である喪主が責任をもって行わなければなりません。
さらに、四十九日法要を終えた後、葬儀や通夜で香典をいただいた方へのお返しやお礼を行いますが、これらも葬儀の喪主か、忌日法要以降の施主が行うことになります。
喪主は誰が務める? 決め方は?
誰が喪主を務めるのか
喪主は一般的には慣習によって決めることになります。ほとんどの場合、家長に当たる親族が務めることになります。
例えば、親子4人(夫婦と子どもが二人)の家族のうち、夫が亡くなったとしたら、普通は亡くなった人の配偶者にあたる妻が喪主を務めます。
ただし、子どもが成人していたとしたら、兄弟のうちの一番上に当たる長男が喪主を務めます。
続柄による決め方
兄弟がいる家族では、長男以下、次男以降の直系の男子、長女、長女以降の直系の女子、故人の両親、故人の兄弟や姉妹という順に、血縁関係の深い順番で喪主を務めるのが習わしになっています。
例えば、結婚していない独身者が亡くなった場合は、亡くなった人の親が喪主を務めることになります。
いずれにせよ、亡くなった人により近い人(成人)が喪主を務めることになると考えておけばいいでしょう。
参考:新版 葬儀・法要のあいさつ すぐに使える実例付き(藤村英和 西東社) 166ページ
故人に血縁者がいない場合は
故人に配偶者や血縁者がいないというときは、友人や知人が喪主を務めてもよいでしょう。
喪主は法律で誰でなくてはいけないと決まっているわけではありません。
友人で喪主の引き受け手がいない場合は、葬儀社やお寺の住職が喪主を代行してくれることもあります。
喪主の妻がやるべきこと
夫が喪主となった場合、妻は喪主の妻として夫の手助けをするために忙しくなります。
場合によっては、喪主の夫とともに挨拶に出向く必要があります。
また、遺族の中で喪主の妻は、席の順番や焼香の順番がどのようになるのか、地域や家の風習の違いもあるため一概には言えませんから、事前に相談しておくとよいでしょう。
喪主の服装
喪主は正式礼服または、略式礼服が基本です。
洋装における正式な礼服は、昼はモーニングに黒のネクタイ、通夜は黒のスーツが基本です。和装ならば紋付の羽織袴が正式な喪服となります。
ただしモーニングは昼だけの服装なので、通夜では絶対に着ないように注意しましょう。通夜から葬儀にかけて服を準備する時間がない場合は、黒のスーツの略式礼服で構いません。
参考:〈小笠原流〉日本の礼儀作法・しきたり(柴崎直人 PHP研究所) 7ページ
髪型やアクセサリーについて
髪型は、男性の場合なら、清潔感があるように短く耳を出した髪型が適しているといえるでしょう。
女性の場合、ロングやセミロングなら、黒のヘアピンなどできるだけシンプルな髪留めで焼香などの際に邪魔にならないよう、まとめるようにしましょう。
男性、女性とも髪の色は黒が基本です。赤く染めている人は黒く染め直すなど、派手に見えないように気を付けましょう。
アクセサリーは結婚指輪以外は外すのが基本です。イヤリングやピアスなども外しておきましょう。女性が付けて良いアクセサリーは、一連のパールのネックレスだけです。
まとめ
・喪主は、一般的には慣習によって決まる。血縁者の中で最も近い順に選ぶ。
・喪主の役割は葬儀全体を取り仕切ること。さまざまな人への挨拶も重要な役目。
・喪主は、お金のやりとりも含め、葬儀の最後まで責任をもって遂行すること。