急に喪主を任されたとき、何をすればいいのか戸惑うこともあります。喪主のやることは意外とたくさんありますので、いざというときに困らないように基本的な役割を知っておきましょう。
ここでは、葬儀を葬儀会社に依頼し、仏式で葬儀を行う場合の喪主の役割について紹介します。
目次
通夜までに喪主がやるべきこと
一般的に、喪主は故人の配偶者や長男、長女が務めるケースが多いようです。通夜までにすませなければいけないことはたくさんありますので、肉親や親しい親戚の方などに相談に乗ってもらい、役割分担をして進めたほうがよいでしょう。通夜までの喪主の役割には以下のものがあります。
①葬儀会社を選ぶ
葬儀会社はできるだけ早い段階で決めておきます。病院で亡くなった場合はその時点で葬儀会社を決めておくと、ご遺体の移送も葬儀会社が担当してくれる場合がほとんどです。
葬儀会社は近隣の評判や肉親や親族の意見を参考に、信頼のできる葬儀会社を選びましょう。
②お寺に連絡する
菩提寺や檀那寺が近くにある場合はそのお寺に連絡し、読経をお願いします。菩提寺が遠方だったりわからなかったりする場合は、葬儀会社に宗派を告げて手配してもらいます。
③親族と予算を考慮し、葬儀の場所や規模などを決める
通常、葬儀の費用はいただいた香典でまかないます。参列者数から香典額を概算し、葬儀用の積立金がある場合はそれを加えて葬儀の予算を考えます。その上でお寺や葬祭場など葬儀を行う場所や、祭壇の規模などを決めます。
葬儀では祭壇や斎場費、僧侶へのお礼、霊柩車代、火葬料、会食費、会葬御礼品、香典返しなどさまざまな費用が発生しますから、葬儀会社や近親者と相談しながら決めていくようにしましょう。大体の内容が決まったら、葬儀会社から見積書が出されますので、料金と内容を確認しておきます。
参考:冠婚葬祭マナー大事典(学研ライフ&フーズ編集室 学研パブリッシング) 337ページ
④葬儀の日程を決める
葬儀の日取りは「友引」を避けます。友引は「友を引く」とされ、不幸が重なることを避ける意味で葬儀は行わないのが慣例になっています。具体的な日時は斎場や火葬場への確認もあるため、葬儀会社に任せることが多いようです。
参考:日本人として知っておきたい<仏教のしきたり>(松濤弘道 PHP研究所) 67ページ
⑤葬儀の日時を知らせる
葬儀の場所と日時が決まったら、故人と親交の深かった方や近隣の方、喪主の友人、勤務先などに知らせます。弔辞をお願いする方にはその旨を伝えます。
⑥必要な手続きをすませる
病院から「死亡診断書」を受け取り、市町村の役場に持参して「死亡届」を提出します。死亡届が受理されると、火葬に必要な「火葬許可証」が交付されます。また、病院で退院手続きをすませます。
参考:冠婚葬祭マナー大事典(学研ライフ&フーズ編集室 学研パブリッシング) 317ページ
⑦枕経と納棺
病院で亡くなった場合はいったん自宅にご遺体を移し、枕経と納棺を行うケースが多いようです。布団や枕飾りの準備は葬儀会社が行います。枕経は故人への最初の供養で、僧侶に読経をお願いして冥福を祈ります。通夜までに納棺をすませます。
⑧遺影を用意する
葬儀に必要な品々は葬儀会社が用意しますが、遺影に使う写真は遺族が用意して葬儀会社に渡します。
⑨会葬御礼品や香典返し、会食の手配
参列者にお渡しする会葬御礼品、葬儀当日に香典返しをする場合はお返しの品、通夜ぶるまいや精進落としなどの会食の手配をします。これらは葬儀会社が提示するものの中から予算に応じて選ぶことが多いようですが、時間的な余裕があれば遺族側で手配することもあります。
通夜と告別式の当日、喪主がやること
葬儀の実務的な仕事は葬儀会社が行います。喪主は葬儀会社と打ち合わせをして葬儀や火葬の段取りと自身がやることを確認しておきます。通夜と告別式での喪主の主な役割は、僧侶や弔問客の接待と挨拶です。
①僧侶の接待
斎場へ僧侶をお招きするときは、喪主が案内をします。お布施も喪主がお渡しします。
②挨拶
通夜法要後や告別式法要後、通夜ぶるまいや精進落としの前後など、喪主が挨拶をする機会はたくさんあります。会食の前後は簡単でもかまいませんが、法要後の挨拶は参列者への感謝の気持ちを込めて、マナーを踏まえた挨拶をするよう心がけましょう。挨拶は書面で用意しておきます。暗記したつもりでも緊張して忘れることもあり、その際は紙を見ながら話しても問題ありません。
挨拶の文例は、以下の記事をご参照ください。
③供花や弔電の確認
お供え物のお花は通夜に届けられることがほとんどです。供花は贈り主の名札をつけ、故人と関係の深かった順に配置しますので、喪主はどなたからいただいたかを記録しておき、配列に間違いがないかをチェックします。
弔電は告別式で読み上げられます。喪主は弔電を読む順序を葬儀会社に指示します。
葬儀後は遺族とともに四十九日法要と香典返しの準備をする
喪主の役目は葬儀で終わるのではなく、葬儀後の挨拶周りや法要、香典返しも喪主の役割です。
まず、初七日までに葬儀でお世話になった方近隣の方や友人、お寺、病院などにお礼の挨拶に伺います。そのあとに
忌明け法要でもある四十九日法要の準備をします。四十九日法要後に香典返しをする場合はその用意もします。
喪主が一息つけるのは、香典返しが終わってからといったところでしょうか。2ヶ月近くの長丁場になりますので、家族や肉親、親族と協力しながら供養をするようにしましょう。
法要の準備などについては、以下の記事をご参照ください。
まとめ
・通夜までに喪主がやることは多い
・葬儀の準備は肉親や親族と役割分担をして進めたほうがよい
・葬儀での喪主の役割は、僧侶や弔問客への接待と挨拶
・葬儀後は四十九日法要と香典返しの準備をする