葬儀を無事に終えると、すぐにやってくるのが四十九日の法要です。四十九日ではどんな服装をすべきなのでしょうか。通夜や葬式のときとどのような違いがあるのでしょう。ここでは、四十九日の服装について、施主、参列者、子供、また身内だけで行う場合など、ケースごとに解説します。
目次
四十九日の服装の注意点
四十九日は、忌明けとなる日であり、故人や遺族にとって最も大切な法要といえるでしょう。一般的には、葬儀と同じように、遺族だけでなく親戚や知人なども招いて、僧侶による読経を行い、参列者を招いて会食を行うなど比較的大きな規模の法要を行います。
法事は、それなりの礼節を重んじるべき場であり、服装に関しても、いい加減に済ますべきでありません。大勢の人々が集まる場だけに、服装にもそれなりの注意を払う必要があります。
基本的に四十九日の法要では、参加する者は全員、喪服を着用するのがマナーといえます。では、どのような喪服を着用すべきか、ケースごとに見ていきましょう。
喪服の種類
喪服には、格式に応じた種類があります。四十九日の法事は、故人が主役であり、故人との関係によって身に着けるべき、喪服の種類が変わってくるのです。立場を考えずに、喪服であればなんでもいいと、勝手に選んでいいわけではありません。
喪服でもっとも格式が高いのが「正喪服」であり、次が「準喪服」、最後に「略式喪服」の順となります。
四十九日の服装 施主や遺族の場合
男性の服装について
施主や遺族は、基本的には「正喪服」を着用するようにします。
しかし、実際には参列者よりも軽装にならないようにすることがマナーなので、施主や遺族も「準喪服」として、ブラックスーツでも問題ないでしょう。
男性の正喪服は、洋装であれば黒のモーニングコートです。モーニングコートとは正式には上着のことだけを指します。弔事では黒の無地のネクタイ、ベストは白襟を外して黒を着用します。
モーニングコートと合わせるズボンは、縞ズボンと呼ばれるグレーを基調として黒の縞(ストライプ)の入ったものが一般的です。縞は慶事用よりも細めの縞がよいとされます。
和装の正喪服は黒の紋付袴和装で、羽織は黒の羽二重で家紋は5つのものを着用します。
和装の場合、袴や羽織の紐の結び方も慶事用とは異なるので、ふだん着慣れていない人は着付けができる人に教わるなど注意が必要です。
女性の服装について
女性の正式喪服は、ブラックフォーマルという名称で市販されています。
洋装の場合、色は黒、光沢のない素材の無地のワンピースやアンサンブル、またはスーツです。シンプルなデザインで装飾が少なく、夏でも長袖が基本です。暑くてもひじが隠れるぐらいの袖丈で、ノースリーブは避けましょう。
スカートの場合もひざが隠れるぐらいのもので、ストッキングも黒にします。スーツの場合、ブラウスも黒で白は避けましょう。
和装の場合、黒無地の黒喪服を着用します。染め抜きの5つ紋で帯揚げや帯締めなども黒無地にします。なお、家紋に関して、女性は実家の家紋を用いるところもあり、地域によって風習が異なりますので、周りの人に確認しておくとよいでしょう。
参考:冠婚葬祭マナー大事典(学研ライフ&フーズ編集室 学研パブリッシング) 413ページ
四十九日の服装 参列者の場合
男性の服装について
参列者は、基本的に喪主側よりも格下の喪服を着用します。特に「正喪服」は遺族の喪服なので避けるようにします。
参列者は、四十九日では「準喪服」か「略式喪服」を着用するとよいでしょう。略式といっても黒を基調とした服装にすれば、マナー違反ではありません。
案内状に平服でOKという指示が特になければ、上下黒の礼服を着ればいいでしょう。略式であっても、その他の小道具は正喪服と変わりません。黒の法事用ネクタイを着用し、靴下やベルト、靴なども黒で統一します。
なお、革製品のベルトなどは避けるのがマナーともいわれますが、地味なデザインの黒であれば牛革で特に問題ありません。また、金色の金具やナメル製など、光沢のあるものは避けた方がいいでしょう。
参考:おつきあい&マナー大事典(学研ライフ&フーズ編集室 学研パブリッシング) 250ページ
女性の服装について
男性と同様に「正喪服」は着ないようにしましょう。洋装の場合、女性の喪服は正と準との見分けがつきにくいので、あまりに「意気込んだ格好」をしないように心がければいいでしょう。
参列者の基本は、光沢のない黒または濃いグレー、濃紺などのダークカラーの服装にします。あとは靴やストッキングなどを黒を基調した弔事用で統一します。
法事は自分が目立つ必要は全くありませんので、結婚指輪以外のアクセサリーは特にしない方が無難です。
参考:冠婚葬祭マナー大事典(学研ライフ&フーズ編集室 学研パブリッシング) 420ページ
四十九日の子供の服装
子供の場合、四十九日に参列する際は、成人のように喪主側と参列者側で、格式に気を配る必要は特にありません。
小学生や中学生、高校生までなら、学校の制服があれば制服を着用します。学校の制服を着用していれば、靴下の色も白で問題ありません。靴は指定がなければ、できれば黒のシンプルなものを履くようにします。
制服がない場合は、色は黒やグレー、紺などで、できるだけシンプルなデザインの無地のシャツやズボン、スカートなどを着用するようにしましょう。
身内だけで四十九日を行う場合の服装
身内だけで四十九日を行う場合、知人などの他人を招かないこともあって、「正喪服」を着る必要はありません。
ただし、法事ですから、僧侶を呼んでお経をあげていただくことを考えるなら、それなりに常識的な服装は心がけたいところです。たとえ身内だけであっても、できれば「準喪服」で行いたいものです。男性、女性とも黒の礼服を着用するようにしましょう。
その他、小物やアクセサリーの注意点は他の参列者を呼ぶ場合と一緒です。アクセサリー等、光るものは避けて、基本的な考え方として、自分を目立たせる必要は一切ないということを覚えておきましょう。
まとめ
・四十九日の服装は、喪主や遺族側は「正喪服」か「準喪服」を着用するのが基本。
・参列者は「準喪服」か「略式喪服」で喪主側よりも格上の服装とならないようにする。
・身内だけで行う場合でも、法事ということを忘れずに常識的な服装を心がけよう。